今回の禁止を出発点に考えてみた。スタンダード最強卡であるコプターが死んだ今、答えるべき問2つがある。第一に、次の最強卡は何か。第二に、コプターの穴埋めはどうするか。僕は前者についてギデオンと結論した。後者については、キランの真意号という明快な解があるが、伝説のため4枚は入れられない。そこで改革派の貨物車/Renegade Freighterを試してみることにした。
Renegade Freighter / 改革派の貨物車 (3)
アーティファクト — 機体(Vehicle)
改革派の貨物車が攻撃するたび、ターン終了時まで、これは+1/+1の修整を受けるとともにトランプルを得る。
搭乗2(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計が2以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体(Vehicle)はアーティファクト・クリーチャーになる。)
4/3
そこでギデオンをマナカーブの頂点に据えて組んでみると...
4 Gideon, Ally of Zendikar
2 Oath of Ajani
3 Tireless Tracker
2 Renegade Freighter
2 Heart of Kiran
4 Renegade Rallier
4 Sylvan Advocate
4 Thalia’s Lieutenant
1 Thalia, Heretic Cathar
4 Lambholt Pacifist
4 Selfless Spirit
2 Stasis Snare
4 Canopy Vista
3 Fortified Village
6 Forest
6 Plains
1 Westvale Abbey
4 Evolving Wilds
SB: 2 Stasis Snare
SB: 4 Fragmentize
SB: 2 Heroic Intervention
SB: 2 Nissa, Voice of Zendikar
SB: 2 Blossoming Defense
SB: 3 Verdurous Gearhulk

・Walking Ballista すごく強い。少なくとも可変サイズのトリスケリオンであり、相手の先攻1ターン目に出たヤンパイを放置しておけないからX=1で、といった柔軟性がある。メタモーフとは相性が悪いが、起動型能力がそれを補って余りあるほどの制圧力をもっている。

・Scrap Trawler 相手も順番を考えながら除去してくるので、思うような活躍はできなかった。回収できても唱え直すのにテンポロスが大きい。こりゃ望み薄か

・Hope of Ghirapur 強い。が、役割は何かと考えてみると、有利な状況を固定するための時間稼ぎということになる。そんなら4ターンもらえる鉄線のほうが汎用的ではないか?こいつで1点与えるより、コピーによる鉄線連打の方が良いのでは?とも思った。
http://www.themanadrain.com/topic/924/lcv-2016-final-tournament-top16-decklists

グリクシスパイロマンサー
メンター
白単エルドラージ
メンター
車屋(Null Rod2枚。...マジか)
車屋
白単エルドラージ
白単エルドラージ

メンター
メンター
逆説ストーム
メンター
MUD
メンター
デルバー
ランドスティル
フルスポとにらめっこしてたが特にやばそうな新規卡はなかった。ということで今回の予想は...

1位 Walking Ballista(4点)

2位 Hope of Ghirapur(3点)

3位 Scrap Trawler(2点)

4位 Baral, Chief of Compliance(2点)

5位 Fatal Push(2点)

やはりWorkshop推しのセットとなった。
https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/news/20170109


コプターについては、昨日述べたように霊気紛争で対応する旨コメントが出た話もあって(と各所で言われているが、ソースを探すとこれが見当たらない...)禁止はないものと諦めていたが、ウィザーズの英断を讃える。

しかし、残り2つについてはそれほど極端な支配をもたらしていたわけでもないし、ギデオンあたりのほうが強いんじゃないかと感じる部分もある。B/R改訂時期の増設とも相俟って、バントカンパニー一極時代の反省として、スタンダードで禁止は出さないとした原則を変更し、より躊躇なき介入に切り替えていくシグナルとも読める。

一方モダンではコンボパーツ2枚が禁止された。ギタクシア派の調査は軽さの割にできることが大きいと判断された。またゴルガリの墓トロールはドレッジの基盤となる点が問題視され、再び櫃に収められることとなった。

しかしながら採用率の観点ではこの両者の不健全性は見えてこない。ギタクシア派の調査はコンボ全般を助長するglobalな卡だが、海馬でもない我々にとって特別不愉快というわけでもなく、採用率は20%に届かない。ゴルガリの墓トロールを擁するドレッジにしても占有率は10%程度だ。モダンではフェア(対話的)デッキをより強く推奨し、競技性より楽しみのあるフォーマットに育てようという意思表示だろうか。

ともあれ、今回B/R改訂を増設したことは、前の記事で指摘したようなジレンマを避けるために有効といえる。その調子でレガシーとヴィンテージにもメスを入れて欲しいもんだ
公式発表は16日。→23:19追記:明日に前倒し!何があるんだ、とりあえず全部No Changesならわざわざ前倒しにする意味もないから何かはありそうだな...

以下、パーセンテージ表記はmtgtop8調べ。

スタンダード
[願望]Smuggler’s Copter is banned
[予想]No Changes

ここ2週間で68%のプレイヤーが回転翼機を4枚投入した。全色土地つまり全てのデッキに入りうる霊気拠点より10%も上回る数値だ。あまりに不健全であり、禁止が妥当というのが僕の考えだ。

しかし、ウィザーズもこのことは把握しており、AERに対策卡を入れたとのコメントも出ている(おそらくキランの真意号や霊気圏の収集艇を言及しているのだろう)ことから、現実的には禁止の見込みはない。とはいえ、これらが本当に回転翼機を抑止するに足る力を持ち合わせているのか、まだ誰も知らない。ウィザーズの見込み通りになればよいが、万一そうならなかった場合には、密輸のまかり通る無法地帯があと3ヶ月続く。そして春、アモンケットでも「新環境で占有率が下がるかもしれないから様子見で」が繰り返される...

こういう悪循環の例を我々はすでに知っている。集合した中隊は禁止されるべきタイミングで禁止されず、バントカンパニーのスタンダード占有率70%という名誉に満ちた(健全性の観点からすれば恥辱に満ちた)記録とともに生を全うした。ことスタンダードに限っては、B/R改訂をエキスパンション発売に同期させる変更は利益より損失をもたらした気がしてならない。

モダン
[願望]Preordain is unbanned
[予想]No Changes

モダンのメタゲームを見てみよう。半分がアグロ、残り半分がコントロールとコンボ。占有率10%を越えるアーキタイプはなく、卡単位で見ても採用率1位の樹木茂る山麓ですら33.6%である。TCG全てが憧れる最高のバランスがここには実現されているのであり、昨今ではスタンダードを差し置いてフォーマット一番人気となりつつある程だ。この理想郷に禁止されるべき罪人はおらず、解禁を考えるべきだろう。

半年前の考察(http://bagupokemon.diarynote.jp/201607170008334808/)
では、禁止卡の中から、比較的解除の見込みのある卡を3群に分けた。

第1群:純然たる強卡
時を越えた探索/Dig Through Time
宝船の巡航/Treasure Cruise
精神的つまづき/Mental Misstep
精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor
思案/Ponder
定業/Preordain
第2群:継続的除去
梅澤の十手/Umezawa’s Jitte
罰する火/Punishing Fire
第3群:クリーチャーとその周辺
出産の殻/Birthing Pod
血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf
死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman
ウギンの目/Eye of Ugin
緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith
石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic
この中から1枚と考えると、定業ならコンボを過度に助長することもなく、モダンで弱い色である青へのテコ入れになって良いのではないかなと...

レガシー
[願望]Mind Twist is unbanned
[予想]No Changes

精神錯乱がトーラックへの賛歌(採用率12.1%-呪文部門27位)より強くなるには4マナが必要だ。2ターン目に暗黒の儀式経由で唱えるにしても、アド差にして考えれば普通にHymnを唱えるのと変わりない。また、ヴィンテージでは一切使われていない。

ヴィンテージ
[願望]Preordain is restricted,Mental Misstep is restricted
[予想]No Changes

精神的つまづきについては以前からの主張に変わりない。定業もまた青デッキを支える定番1枚となりつつあり、採用率・枚数ともに高い。思案が制限でこれが野放しというのも整合性の面でどうかと感じるようになってきた。
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3775

海外ではメンターが王者に返り咲きしたところだが、今回の決定戦では、白単エルドラージの活躍がむしろ目立つ。
Walking Ballista
XX
Artifact Creature - Construct
Walking Ballista enters the battlefield with X +1/+1 counters.
4: Put a +1/+1 counter on Walking Ballista.
Remove a +1/+1 counter from Walking Ballista: Walking Ballista deals 1 damage to target creature or player.
illus. Daniel Lunggren # 181/184
C&D SRC RT
0/0
4点ーMishra’s Workshopと共に生まれ、共に戦ってきた者の名はトリスケリオンである。随時起動可能な割り振り火力により、ある時は敵の戦線を壊滅に追い込み、ある時は電結の荒廃者と組んで唐突な死を与える強力なクリーチャーだ。今回その後継者が現れた。非常によく似た両者を比べてみると...

共通点:アーティファクト、6マナで3点分散火力
トリスケリオン優勢:火力起動後も1/1が残る、変異エルドラージ・変形者と相性が良い
Ballista優勢:コストが可変、起動型能力で強化

Ballistaの方が一歩先んじているようだ。採用はほとんど保証されたようなものである。
Baral, Chief of Compliance
1U
Legendary Creature - Human Wizard
Instants and sorcery spells you cast cost 1 less to cast.
Whenever a spell or ability you control counters a spell, you may draw a card. If you do, discard a card.
"The echo of silence is music to my ears."

illus. Wesley Burt # 28/184
SRC
1/3
2点ー2マナと軽く、汎用的な能力を複数持った優秀クリーチャーだ。

しかし、第一の能力は第一印象ほど大それたものではない。例えば、メンターに投入したとして、これの恩恵を受けるのはTime Walkと探査の合計3枚しかない。第二の能力はなかなか良いが、これも小規模だ。

救いは、能力同士が、か細いものとはいえシナジーで結ばれている点だろう。呪文が軽くなるなら土地の需要は低下する。ルーターの際には手札で余った土地を捨てればよい。またサリアに対して非常に強いのも長所である。

Vault Controlなら、両方の能力を十分に活用できそうだ。しかし伝説ということもあり採用率は抑えられるだろうから控えめの2点。
Hope of Ghirapur
1
Legendary Artifact Creature - Thopter
Flying
Sacrifice Hope of Ghirapur: Until your next turn, target player who was dealt combat damage by Hope of Ghirapur this turn can’t cast noncreature spells.
The renegades mounted an aether disruptor aboard a lightweight thopter to destroy Tezzeret’s Planar Bridge.

illus. # 154/184
SRC
1/1
3点ーアーティファクトでザンティッドの大群が出るとは思わなかった。起動すれば大打撃なのはもちろんだが、1マナでコンバット前に除去を引きずり出す避雷針と考えてもかなり優秀。
Renegade Rallier
1GW
Creature - Human Warrior
Revolt — When Renegade Rallier enters the battlefield, if a permanent you controlled left the battlefield this turn, return target permanent card with converted mana cost 2 or less to the battlefield.
"This fight belongs to us all."

illus. Kieran Yanner # 133/184
C&D SRC
3/2
3マナ3/2と頼もしいサイズを持つ人間であり、戦いの中に倒れた仲間か、少なくともフェッチランドを呼び戻すことができる。夢は膨らむが、そう都合良くはいかないだろうなあ...
Gonti’s Aether Heart
6
Legendary Artifact
Whenever Gonti’s Aether Heart or another artifact enters the battlefield under your control, you get EE (two energy counters).
Pay EEEEEEEE, Exile Gonti’s Aether Heart: Take an extra turn after this one.
Workshopで採用し得る範囲では初の追加ターンアーティファクトだ。エネルギーデッキはスタンダードなら霊気池の脅威として成立するが、ヴィンテージでは無理であり、テキストは「続けて2つアーティファクトを出せば追加ターン」と読み替えられる。

Workshopはロック、つまり互いの1ターンの価値を小さくする志向性を持っており、追加ターンは(一般的なデッキほどには)魅力的でない。6マナのこれを展開し、さらにアーティファクトを2つという重荷に応えるほどのリターンとは考えにくい。それなら溶接工で何かやろうと言いたいところだが、伝説と自身を追放するコストのせいで悪用しづらい。また、アーティファクトの起動型能力というのも今少し肩身が狭い。
Fatal Push
B
Instant
Destroy target creature if it has converted mana cost 2 or less.
Revolt — Destroy that creature if it has converted mana cost 4 or less instead if a permanent you controlled left the battlefield this turn.
2点ー紛争は非常に簡単な能力で、どちらかがフェッチランドを切るだけで成立する。素でも燻しと比較してrelevantな性能であり、紛争時には、リアスマを除けば環境の全クリーチャーが対象に入ると、軽いに似ず有能だ。

ヴィンテージで使われる1マナ除去には、ソープロと稲妻がある。ソープロは別格としても、稲妻に殺せてFatal Pushに殺せない相手は、PWを除けば存在しない。白のないGrixis等での採用が期待される。

※1/4追記 紛争の条件を誤っておりました。申し訳ありません。
Release the Gremlins
XXR
Sorcery
Destroy X target artifacts. Create X 2/2 red Gremlin creature tokens.
"Being an inventor means knowing how to use the tools at hand to make something great—or to bring it down." —Pia Nalaar
X=1で躁の蛮人相当であり、さらにマナが潤沢にあれば効果もそれだけ大きくなる。なかなか使えそうだが、最低3マナというのは重いか?
http://magic.wizards.com/ja/node/1108136

現環境の天命は石のような静寂メンターに降った。この後AERを経てどう推移するかが見ものだ。
ペルソナ5面白かった
去年は僕個人からすればBlack Lotus、Time Walkを購入しヴィンテージへの扉を開いた年であった。またヴィンテージ全体の動向としても、エルドラージという全く新しいアーキタイプが登場し、カラデシュからも逆説的な結果や機体といった新しい風が吹き込んだ。

今年も実り多き1年になることを願いつつ、皆様よろしくお願いします!
Paradox Engine
5
Legendary Artifact
Whenever you cast a spell, untap all nonland permanents you control.
Moxを擁するヴィンテージでこそ輝く能力だ。またTime Vaultの隣に置けば即勝利することもできる。また溶接工との相性も良く、一例として、「十分な量の呪文を握り、アクティブな溶接工及び何かアーティファクト1つをコントロールしている」状態であれば、墓地にEngineとTime Vaultを仕込むことで勝ちだ。

とはいえ、単体で重く役に立たないため無能である。
Holiday Promo 2016とヴィンテージ
同コストで同じく飛行機械トークンを生成する飛行機械の諜報網/Thopter Spy Networkと比較すると、アーティファクトをコントロールしていなくてもトークンを出せる一方、飲食禁止ブースでは紙クズ同然に成り下がってしまうので一長一短といえるだろう。また、ダメージ誘発のドロー能力が消えている点も痛い。トークンの象徴(重言)を食べることで一息つけ、思考力も回復できるのが代わりといえば代わりだが、そもそも飲食が許されるブースであれば、このような卡でトークンにするまでもなくそれを食えば済むことであり、活躍の場は見いだせない。
http://www.bazaar-of-moxen.com/en/index.html

3/31 トライアル
4/1 本戦レガシー 
4/2 本戦ヴィンテージ

かつてはヴィンテージ大会としては世界最大級だったのだが、今となってはさほど突出した規模でもなくなってしまった。それでも大変名誉あるタイトルであることには変わりない。

4月2日が実に楽しみだ。あとデュアルコマンダーとかいう無能フォーマットは映さなくていいからな
操作性悪すぎて投げた模様
AERとヴィンテージ3
Consulate Crackdown
3WW
Enchantment
When Consulate Crackdown enters the battlefield, exile all artifacts your opponents control until Consulate Crackdown leaves the battlefield.
"The workshops are silent. Our creations have been seized. They have killed what made us alive." —Pia Naalar
フレーバー通りWorkshopを沈黙させるエンチャント。しかし、こうも重いと汚損破の方が小回りが利く分良いということになってしまう。
Tezzeret, the Conspirator
2UB
Planeswalker - Tezzeret
+1: Create a colorless artifact token named Etherium which has T, sacrifice Etherium token: add one mana of any color into your mana pool.
-2: Target creature gets +X/-X until end of turn which X is the number of artifacts you control.
-7: You get an emblem with "At the beginning of your combat phase,target artifact you control becomes a 5/5 artifact creature."
illus. Ryan Alexander Lee # 137/184
C&D SRC RT
5
テゼレットはPWがヴィンテージにも通用することを証明したのみならず、そのトップメタさえも経験した、マジック史上でも特別な卡といえる。さて今回のテゼレットを見てみる。着地と同時に[-2]でクロックを除去できればと言いたいが、残したところで[+1]は弱く、[-7]も間延びしている。かつての蓋世の英雄が老醜を晒し、晩節を汚す姿の何と痛ましいことか。

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