GOW3 Remastered感想
2016年12月5日 ゲーム・グラフィック
PS3の時点で限界突破の感あったグラフィックが一層洗練されたことは驚愕に値する。さらにFPSも常時60と強化されており、クレイトスが織りなす荒々しくも美しい攻撃の軌跡を心ゆくまで堪能できる。ただ、元々が2010年のゲームなので、流石に現在のトップクラスには及ばないか。
よく指摘されるのは、全体的に暗い点である。確かに、序盤のステージ冥界が暗いのはもちろん、脱出したと思ったら太陽の神ヘリオスを弑逆して太陽が隠れてしまうし、それ以降入り浸ることになる洞窟~ラビリンスも暗いしで、この批判は確かに一理あることといわなければならない。僕としてはプレイやグラフィック鑑賞に差し支えがあるとは感じなかったし、ヘリオスヘッドを活かすために意図的に暗くした場面もあるのだろうと思った。しかし、ヘリオスとヘルメスの登場順番を入れ替えるとかして、明るい時間をもう少しとってくれれば、印象も異なっていたのかもしれない。
しかし、総合的にはギリシャ神話の怪物や神々、意匠を凝らした建造物といったオブジェクトを表現しきる素晴らしいグラフィックであった。
・音楽
実に壮大。個人的なお気に入りはZeus’s final stand、Lair Of The Judges
・インタフェース
ムービーを飛ばせないが、おそらく裏読みに必要なのだろう。あとはロードも速いし特に引っかかった点はないが、クレイトスが敵に隠れて見えないことがあった。カメラ固定なら固定でよいが、敵との位置関係によって調整するといった工夫はほしい。
・シナリオ
2からの続き物なので単体では評価し難いが、とりあえず冒頭でゼウスに復讐するという目標を掲げ、それを達成した。その直後に控える結末も、復讐をテーマとした作品ならこれ以外にはあり得ない(まあ生きてて息子まで作ってたけど...)。ギリシャ神話の思想が登場人物の思考様式の根底に流れているのだろう、僕ごとき浅学の徒にはその趣意を汲み取ることすらできない、実に高尚な作品といえる。そのため今回はそうした深遠な部分には立ち入ることなく、見せ方の部分のみ語ることとする。結論としては、説明不足を感じる点があまりに多い。
まず登場人物の人間関係がそうで、本作から入るプレイヤーにとってはクレイトスとゼウスが相克する理由からして見当がつかないことだろう。1,2のストーリーを理解し、あの膨大なギリシャ神話のあらましを頭に入れておけというのでは、予備知識としてあまりにハードルが高い。スタートボタンから呼び出すメニューに登場人物相関表1枚でも仕込んでおけば違ったろうに残念なことだ。
攻略上も、地図とか行動計画とか、全体の見取り図というものが存在しないので、例えば謎解き一つにしても、場当たり的に目の前のレバーを倒したり、死体をそれらしき場所に安置したりしているうちに、何だかわからないが道が開けた、となりがちである。これは協力者(今作ならアテナ)に「生い茂る茨が行く手を阻んでいます...旅を続けるには火の力が必要になるでしょう」てな具合で、もう少し饒舌になってもらうしかない。これはシリーズを通して描写されてきたクレイトスの孤独さをいくらか減じることになるかもしれないが、武器を入手するたびに2回ずつアドバイスをくれているわけだし、観光案内も兼ねて一言ヒントをくれる程度なら変なところはないはずだ。
また、同じステージを行ったり来たりすることが非常に多く、作業感を惹起する上、右に触れたような、状況がわかりづらい弊をも助長している。僕の考えでは、これを解決する方法は、各ステージを最初に訪れた際にフラストレーションを残し、再訪時にクレイトス自身の成長によってカタルシスを与えることがある(横文字多い)。例えば、ステージの道をオニキスが塞いでいて進めない→再訪時にはカエストスで叩き割ることができる、といった具合だ。
・戦闘
怒涛の攻撃を見切り、鋭く切り返す。戦略性も重要。申し分なし!最高!
特に凄いのはCSアタックによる壮絶な殺戮。日本語版でヘラクレスに修整入ったのは許さねえ
・謎解き
従来作より質量ともにお取り、正直いって擁護し難い。GOWシリーズにちらほらあった、戦闘と謎解きを融合したシーンが特に無いのも寂しかった。これは相応に難易度が高いわけだが、とりあえず敵を倒しているうちに法則性に気付き、試行錯誤しながら何とかクリアできたときには大きな達成感を味わうという具合で制作者との対話を実感することができた(今思えばこのあたりワンダと巨像に近いものがある)のだが残念である。
ただ天空庭園はこのグラフィックでこそ表現できる謎解きであり、見事だった。
・フライト
これも素材を活かしきれていない印象。4回ほどあったがその全てが単なるフライトでしかなかったのが残念。グラフィックの素晴らしさを誇示する上では絶好の機会だと思うのだが、4回とも暗く狭い鉄鎖周辺のフライトとなっており、いまいち代わり映えしない。まあ狭くなければフライトゲーにならないのでそこは仕方ないとしても、クレイトスが飛ぶばかりでは面白くない。ところどころワイヤーアクションを交えたり、攻撃やCSアタックで壁をぶち壊して進むとか、メリハリをつけてほしかったところだ。
・総評
素晴らしいグラフィックと戦闘のおかげで、没入感がすごい。細かい点で足を引っ張る部分もあるが、GOW三部作完結編、Game of the Year受賞の名に恥じない渾身の一作といえる。
PS3の時点で限界突破の感あったグラフィックが一層洗練されたことは驚愕に値する。さらにFPSも常時60と強化されており、クレイトスが織りなす荒々しくも美しい攻撃の軌跡を心ゆくまで堪能できる。ただ、元々が2010年のゲームなので、流石に現在のトップクラスには及ばないか。
よく指摘されるのは、全体的に暗い点である。確かに、序盤のステージ冥界が暗いのはもちろん、脱出したと思ったら太陽の神ヘリオスを弑逆して太陽が隠れてしまうし、それ以降入り浸ることになる洞窟~ラビリンスも暗いしで、この批判は確かに一理あることといわなければならない。僕としてはプレイやグラフィック鑑賞に差し支えがあるとは感じなかったし、ヘリオスヘッドを活かすために意図的に暗くした場面もあるのだろうと思った。しかし、ヘリオスとヘルメスの登場順番を入れ替えるとかして、明るい時間をもう少しとってくれれば、印象も異なっていたのかもしれない。
しかし、総合的にはギリシャ神話の怪物や神々、意匠を凝らした建造物といったオブジェクトを表現しきる素晴らしいグラフィックであった。
・音楽
実に壮大。個人的なお気に入りはZeus’s final stand、Lair Of The Judges
・インタフェース
ムービーを飛ばせないが、おそらく裏読みに必要なのだろう。あとはロードも速いし特に引っかかった点はないが、クレイトスが敵に隠れて見えないことがあった。カメラ固定なら固定でよいが、敵との位置関係によって調整するといった工夫はほしい。
・シナリオ
2からの続き物なので単体では評価し難いが、とりあえず冒頭でゼウスに復讐するという目標を掲げ、それを達成した。その直後に控える結末も、復讐をテーマとした作品ならこれ以外にはあり得ない(まあ生きてて息子まで作ってたけど...)。ギリシャ神話の思想が登場人物の思考様式の根底に流れているのだろう、僕ごとき浅学の徒にはその趣意を汲み取ることすらできない、実に高尚な作品といえる。そのため今回はそうした深遠な部分には立ち入ることなく、見せ方の部分のみ語ることとする。結論としては、説明不足を感じる点があまりに多い。
まず登場人物の人間関係がそうで、本作から入るプレイヤーにとってはクレイトスとゼウスが相克する理由からして見当がつかないことだろう。1,2のストーリーを理解し、あの膨大なギリシャ神話のあらましを頭に入れておけというのでは、予備知識としてあまりにハードルが高い。スタートボタンから呼び出すメニューに登場人物相関表1枚でも仕込んでおけば違ったろうに残念なことだ。
攻略上も、地図とか行動計画とか、全体の見取り図というものが存在しないので、例えば謎解き一つにしても、場当たり的に目の前のレバーを倒したり、死体をそれらしき場所に安置したりしているうちに、何だかわからないが道が開けた、となりがちである。これは協力者(今作ならアテナ)に「生い茂る茨が行く手を阻んでいます...旅を続けるには火の力が必要になるでしょう」てな具合で、もう少し饒舌になってもらうしかない。これはシリーズを通して描写されてきたクレイトスの孤独さをいくらか減じることになるかもしれないが、武器を入手するたびに2回ずつアドバイスをくれているわけだし、観光案内も兼ねて一言ヒントをくれる程度なら変なところはないはずだ。
また、同じステージを行ったり来たりすることが非常に多く、作業感を惹起する上、右に触れたような、状況がわかりづらい弊をも助長している。僕の考えでは、これを解決する方法は、各ステージを最初に訪れた際にフラストレーションを残し、再訪時にクレイトス自身の成長によってカタルシスを与えることがある(横文字多い)。例えば、ステージの道をオニキスが塞いでいて進めない→再訪時にはカエストスで叩き割ることができる、といった具合だ。
・戦闘
怒涛の攻撃を見切り、鋭く切り返す。戦略性も重要。申し分なし!最高!
特に凄いのはCSアタックによる壮絶な殺戮。日本語版でヘラクレスに修整入ったのは許さねえ
・謎解き
従来作より質量ともにお取り、正直いって擁護し難い。GOWシリーズにちらほらあった、戦闘と謎解きを融合したシーンが特に無いのも寂しかった。これは相応に難易度が高いわけだが、とりあえず敵を倒しているうちに法則性に気付き、試行錯誤しながら何とかクリアできたときには大きな達成感を味わうという具合で制作者との対話を実感することができた(今思えばこのあたりワンダと巨像に近いものがある)のだが残念である。
ただ天空庭園はこのグラフィックでこそ表現できる謎解きであり、見事だった。
・フライト
これも素材を活かしきれていない印象。4回ほどあったがその全てが単なるフライトでしかなかったのが残念。グラフィックの素晴らしさを誇示する上では絶好の機会だと思うのだが、4回とも暗く狭い鉄鎖周辺のフライトとなっており、いまいち代わり映えしない。まあ狭くなければフライトゲーにならないのでそこは仕方ないとしても、クレイトスが飛ぶばかりでは面白くない。ところどころワイヤーアクションを交えたり、攻撃やCSアタックで壁をぶち壊して進むとか、メリハリをつけてほしかったところだ。
・総評
素晴らしいグラフィックと戦闘のおかげで、没入感がすごい。細かい点で足を引っ張る部分もあるが、GOW三部作完結編、Game of the Year受賞の名に恥じない渾身の一作といえる。
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