KLDとヴィンテージ3 新たなチャンドラ
2016年9月7日 Magic: The GatheringCataclysmic Gearhulk大変動に近いが、アーティファクト・クリーチャーである自分自身を残すことで、自分だけは盤面を維持できる。卡としての完成度は高く、スタンダードでは相当見ることになるだろう。しかし、ヴィンテージでこのコストは重い。WorkshopにはWWが支払えず、白系コントロールにとっては3が出ない。
3WW
Artifact Creature - Construct
Vigilance
When Cataclysmic Gearhulk enters the battlefield, each player chooses an artifact, a creature, an enchantment, and a planeswalker from among the nonland permanents that player controls, then sacrifices the rest.
illus. Victor Adame Minguez # 9/264
C&D SRC RT
4/5
Ceremonious Rejection2点ー派手さには欠けるかもしれないが実直だ。類例としては無効/Annulと鋼の妨害/Steel Sabotageが挙げられる。カバーできる相手によってこれら3枚を比較すれば
U
Instant
Counter target colorless spell.
無効 Workshop オース ランドスティル DPS?
妨害 Workshop特化
C.R. Workshop エルドラージ
最も範囲が広いのは無効だが、誘発が死に等しいオースに対しては、タイミングを逃す危険のある無効に頼るよりも檻や僧侶にで元から絶つ方が戦略として優秀であり、他のアーキタイプに対しても中途半端さは否めない。
鋼の妨害は打ち消しとバウンスが相補的な関係にあり、高い採用率を誇る。
そしてこのCeremonious RejectionはWorkshopとエルドラージ双方を対策する新作だ。http://bagupokemon.diarynote.jp/201608040003534191/ でも書いたが、エルドラージは既存の対策卡を受け付けない点が一つの強みだったが、Ceremoniousはそこに堂々と切り込んでいった。懸念があるとすれば、魂の洞窟デッキであるエルドラージにカウンターで挑むのがどれほど有効かという点だが、アメジストのとげや無のロッドも対象になるため、完全に腐ることはないだろう。サイドボードで試験する価値を持つ卡である。
Metallurgic Summoningsクソドラゴンと並び定番となった神話クソエンチャントと言ってしまえばそれまでだが、この卡については、それだけでは割り切れないものを感じる。なぜなら、ヴィンテージに向く2つの性質を持っているからだ。
3UU
Enchantment
Whenever you cast an instant or sorcery spell, create an X/X colorless Construct artifact creature token, where X is that spell’s converted mana cost.
3UU, Exile Metallurgic Summonings: Return all instant and sorcery cards from your graveyard to your hand. Activate this ability only if you control six or more artifacts.
1.ヴィンテージでは重い呪文を軽く唱える技術が発達している。即ちピッチスペルと探査。
2.他のフォーマットでは、「まず5マナ確保して、次にアーティファクトを6つも準備して、さらにスペルも相応に入れる」はあまりにgreedyだが、Solomoxenを筆頭に強力マナファクトを多数擁するヴィンテージでは最初の2条件を同一視できる。
が、5マナで即座の影響を持たない冗長さは看過できない。FoWか噴出を打てば5/5が出るといってもそれは運頼みであり、また同コストでターンが返れば即勝利のテゼレットと比べても遅い。残念ながら、神話クソエンチャントの域を出ないようだ。
Torrential Gearhulk2点ーまず通常の運用について。唱えるのが4マナ以上のインスタントでない限りは瞬唱の方が良いわけだが、実際のところ、そんな卡はFoWか探査して間もないDTT程度である。では、巨大インスタントを落としておいてリアニメイトする戦略は?インスタントにはそれほど巨大な効果を持つものがなく、精々が火想者の予見程度であり、これも現実性には乏しい。やはり瞬唱は偉大である。
4UU
Artifact Creature - Construct
Flash
When Torrential Gearhulk enters the battlefield, you may cast target instant card from your graveyard without paying its mana cost. If that card would be put into your graveyard this turn, exile it instead.
illus. Svetlin Velinov # 67/264
C&D SRC
5/6
しかしながら、こいつには溶接工から引っ張り出されてくるという存在意義があり、Control Slaverの衣鉢を継ぐSteel City Vaultでの採用が見込める。エルドラージどもを完全に止めるサイズも頼もしい。
Chandra, Torch of Defiance仇への復讐を決意したチャンドラ。カラデシュの町並みを背景に仁王立ちし、右手に魔力を、口元には不敵な笑みを湛え、正面を見据える眼差しに至っては迫力満点である。4マナで4つの能力を持ち、イラスト・性能共に、最も成功したPWのオマージュと思われる部分が多分にある。この卡にかけた開発部の思いが見えるようである。
2RR
Planeswalker - Chandra
+1: Exile the top card of your library. You may cast that card. If you don’t, Chandra, Torch of Defiance deals 2 damage to each opponent.
+1: Add RR to your mana pool.
-3: Chandra, Torch of Defiance deals 4 damage to target creature.
-7: You get an emblem with "Whenever you cast a spell, this emblem deals 5 damage to target creature or player."
4
ヴィンテージのPWには、概ね次のことが求められる。
3マナ...盤面への影響力
これはヴェリアナとダクが該当する。双方ともマイナス能力が極めて強力なPWである。登場ターンに即起動し、ターンが帰ってきたら+能力を繰り返してアドバンテージを生むという使い方が主となる。また、マイナス能力は自衛にもつながり、PWとしての完成度をさらに高めている。
4マナ...恒久的なアドバンテージと自衛能力
何と言っても神ジェイスの聖域である。このマナ域に要求される仕事は、恒久的なアドバンテージである。毎ターン起動でき(=マイナス能力ではだめ)、状況を問わず役に立つものでなければならず、また卡1枚分以上の価値であることが望ましい。要は守っていれば勝てるということである。その守ることについても、ある程度自立してもらわなければならない。
神ジェイスはこれら全てを満たし、さらに相手の逆転の芽すらも摘み取る。味気ないほどの完璧さである。
ヴィンテージでも使われた4マナPWは他にもいくつか存在する。
・ボーラスの工作員テゼレット
[+1]にドロー能力があるが、[-2]のクリーチャー化が非常に強力で、壁になるのみならず、場合によってはこれで勝ててしまうほどである。しかし[+1]は不発の恐れもあり、Moxenらアーティファクトも初手にあれば嬉しいが、4マナのテゼレットが出た段階で欲しいものではない。おそらくアドバンテージは0.6枚程度に留まるものと思われる。それゆえ、大きな活躍は見られない。
・卓絶のナーセット
最適化しても[+1]は0.8枚程度の得にしかならない。盤面に干渉できる能力もないが、高い忠誠度それ自体が自衛力とは言える。ヴィンテージ選手権TOP8に入賞するなど実績があったが、久しく見なくなった。
・ラル・ザレック
[-2]と[-7]が強い。[+1]はいつでも使える能力ではあり、Time Vaultを起こせば勝利となるので採用するデッキも僅かにはあったが、やはりアドバンテージとして微小すぎたようだ。
・実地研究者タミヨウ
[+1]は、場面によっては神ジェイスをも凌ぐアドバンテージを産む。[-2]は、消費が大きい点が気になるが、[+1]とのシナジーを持ち、自衛として悪くない。
登場後間もないので、評価を定めるには早すぎるが、全体としてsituationalである点が気がかりである。
このように、4マナPWはジェイスの牙城があまりに高く、他は淘汰されてしまうのが実情である。
5マナ...速やかな勝利
現在、該当は1ターン後に勝ちのテゼレットのみである。
長くなったが、チャンドラはどうか。
[+1]上 土地は唱えられないので対象外、カウンターや今あるマナより重い呪文等、状況に適さない卡も対象外。唱えなければ相手本体に2点入れることができるので丸損ではないが、戦況を変えるものではなく、これを考慮に入れても、アドバンテージは0.7枚程度に留まるだろう。
[+1]下 2マナ加速。チャンドラですでに4マナ出ているところに今更マナ加速は、という気はするが、登場ターンに若き紅蓮術士や除去を唱えて自身を守れるなら強力。
[-3] このPWの自衛能力にして白眉。1マナ重い龍語りのサルカンと、初期忠誠度を変えないまま同じ能力を保持しているとは驚かしい。ヴィンテージでは、磁石のゴーレムの制限とエルドラージの台頭によって、火力への要求点数が3から4に上がっていたところであり、時宜に適している。
[-7] 遠すぎず、かなり勝利に直結していて、奥義の中でも強い方。
[-3]の除去が非常に強いものの、[+1]が弱く、神ジェイスを押しのけてまで採用することは考えにくい。彼女はおそらくスタンダードの主要人物になるだろうし、モダンでも赤をさらに強化するだろう、そしてレガシーでもオールインのドラゴンストンピィで活躍できるだろう(彼女に瞬間的なマナ加速をつぎ込むことは理にかなっている、[+1]下で取り返せるからだ)だがヴィンテージでの利用について僕は相当懐疑的だ。
Animation Module電結の荒廃者と組むと、マナの限り強化できる(カラデシュの言葉で言うと製造できる)。また2番目の能力は鉄線・煙突を凶悪化できる。しかし単体でなんの仕事もしないやつはWorkshopには入らない。
1
Artifact
Whenever one or more +1/+1 counters are placed on a permanent you control, you may pay 1. If you do you create a 1/1 colorless Servo artifact creature token.
3, t: Choose a counter on target permanent or player. Give that permanent or player another counter of that kind.
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