https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/vintage-challenge-2019-09-01

灯争大戦からB/R大規模改訂まではヴィンテージが最も激しく揺れ動いた4ヶ月であった。いずれその経緯をまとめてみたいと思うが、ともあれその激流の先にあるメタゲームを占うのが今回のChallengeである。


・逆説

TOP16中ワンツーフィニッシュを含め7席/TOP32中10デッキを占め、覇者としての片鱗を見せた。これに驚きはない。むしろ誰もがある程度予想した、いわば順接的な結果である。

逆説は極めて高いデッキパワーを持ちながらも、この4ヶ月、カーンによる片務的Null Rodに最も苦しんだデッキであり、その枷が外れた今、本来のポテンシャルを発揮したということができる。また、B/R改訂による被害も特にない(Misstepは元々不採用が多かった)

とはいえ、溜め込み屋のアウフ/Collector Oupheや活性の力/Force of Vigorといった新規アーティファクト対策は健在である。時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Ravelerは、単体で高い卡力を持ちつつ、これら両者をある程度メタる力を持つPWである。

参考:4月までの逆説
https://www.mtggoldfish.com/deck/1863440#paper


・MUD

2デッキ。4・5位と順位こそ高いが、勢力の大幅な退歩は隠しようもない。神秘の炉/Mystic Forgeの1枚を除いて4ヶ月前からの改善点が特になく、一方で致命的なアーティファクト除去である活性の力/Force of Vigorがメインから搭載されまくっている。

そんな中、先駆のゴーレム/Precursor Golemを搭載した4位のデッキリストは渋い。この卡はロッド能力に影響を受けないし、活性の力に対しても(劇的とは言えないが)ある程度の耐性を持ったクリーチャーだ。苦境の中、少しでもメタに合ったクリーチャーを求めようとするプレイヤーの意思を感じる。ただ、同系対戦が少なくなる中、搭載歩行機械/Hangarback Walker無しで鋳造所の隊長/Chief of the Foundryは必要なのか、やや疑問である。


・墓荒らし・Survival

次に緑系デッキに触れておきたい。緑はこの4ヶ月で最も強化された色である。それはモダンマスターズ出身の2つのアーティファクト対策による所が大きい。またB/R改訂での被害も小さく、墓荒らし・Survivalは合計9デッキが入賞した。

ところで、このところ墓荒らしはコントロール化の傾向が強いようで、商人の巻物/Merchant Scrollまで入っているほどだ。

最初期 https://bagupokemon.diarynote.jp/201305130538574949/
灯争大戦前 https://www.mtggoldfish.com/deck/1811632#paper

あたりと比べてみると特にそれが顕著だ。

これを僕なりに解釈してみるとこうなる。まず、初期の墓荒らしは「クリーチャーを出す→維持する」ことを目標としており、これは完全にクロックパーミッションの発想であった。しかしトレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trestが加入し、入れ替えに闇の腹心/Dark Confidantが抜けていった辺りで、デッキの目標は、強い制圧力を持ったパーマネント(レオヴォルドの他、今ではナーセットも当てはまる)を着地させることにシフトしていき、同時にデッキの骨格も長期戦を見据えたものへと脱皮していったのではないだろうか。


・ドレッジ

B/R改訂により被害を受けたデッキだ。ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll、精神的つまづき/Mental Misstepの2枚を制限されている。

その穴埋めとしては次の卡が採用されているようだ。

【ゴルガリの墓トロール】
→甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis
→ゴルガリの凶漢/Golgari Thug

【精神的つまづき】
→暴露/Unmask

これらは皆、B/R改訂前からドレッジで普通に使われていた卡でもあり、被害を受けたとはいえデッキとして破綻したというような状況では全くない。しかし、凶漢は墓トロールと比べて速度で相当劣る。ホガークに至っては、狂気の祭壇/Altar of Dementiaも復讐蔦/Vengevine
も無いヴィンテージドレッジでは、ポテンシャルの半分も発揮できないと思われる。


・メタゲーム予想

今回の結果から今後のメタゲームを予想してみよう。

1.逆説がトップメタを張る
2.墓荒らしが対抗馬となり、逆説をメタる意味でもアグロ性能高めに戻っていく
3.Xeroxが復権
4.MUD、ドレッジは弱体化したものの、一定の勢力を維持する

特に4.について、この2デッキはメタられなくなった時こそ強くなるデッキであるため、Tier2より下に落ちることはないだろう。逆に他のデッキは、この2デッキを兼ねて対策できる卡(天敵が制限された真髄の針/Pithing Needleなど考えている)を研究したりと、しばらくはサイドボードを軸にしたメタゲームが展開されるのではなかろうか。


付記として、今回のB/R改訂に関係し、右で触れてこなかった2枚の卡の活躍を見てみよう。


・大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator

https://www.mtggoldfish.com/deck/2229551#paper

赤単スタックスで採用された。全く新しい使い方だ。このデッキではシルバーバレットとしての面がより強調されているし、[+1]能力もより輝く。


・Fastbond

https://www.mtggoldfish.com/deck/2229573#paper

土地単!クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphixと並べれば、延々とデッキトップから土地を展開し続け、土地破壊や名前の長い土地に繋げて相手を足止めできる。そして、フィニッシュはもちろん演劇の舞台/Thespian’s Stage+暗黒の深部/Dark Depthsだ。

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