M19とヴィンテージ
2018年7月29日 Magic: The GatheringIsolate / 疎外 (白)0点ー非常に軽い除去だ。ここでヴィンテージの1マナパーマネントを調べてみよう(典拠goldfish)。
インスタント
点数で見たマナ・コストが1のパーマネント1つを対象とし、それを追放する。
ダントツで多いのは墓掘りの檻:平均1.6枚採用。サイドボードの常連で、出される側からすればデッキプランを狂わされるため是非とも除去したい卡である。
2位はSol Ring:平均0.4枚採用。しかしこれはマナ基盤であり、進んで除去したい卡ではないだろう。
そして3位が死儀礼のシャーマン:平均0.3枚採用。これぞ疎外のカモと見るべき対象である。
とまあ、1マナパーマネントは意外な程少ない。そして、疎外を一層のことヴィンテージ環境から疎外するのが、精神的つまづきの存在である。つまづきをフル投入するヴィンテージ環境そのものがナチュラルに1マナへの対策になっているし、同時に疎外の信頼性をも覚束ないものとしてしまう。これは厳しい
Remorseful Cleric / 悔恨する僧侶 (1)(白)3点ー極めて優秀なヘイトベアである。2/2/1飛行が強く、起動タイミングを選ばない能力が強い。これはメイン採用も十分可能だ。枠としては、役割が似ている封じ込める僧侶や、卡力の低い輝きの乗り手を1枚減らして、といった形になるか。
クリーチャー — スピリット(Spirit) クレリック(Cleric)
飛行
悔恨する僧侶を生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーの墓地からカードをすべて追放する。
2/1
難点は、Workshopに対して何もせず、バリスタであっさり溶けること。だがWorkshopは支配率15%くらいまで後退して久しい。
Mistcaller / 霧の呼び手 (青)3点ーこれもヘイト系である。マーフォークにこの能力が加わったのは非常に良いーBig Blueにとって島渡りを持つマーフォークは難敵中の難敵で、勝つためにはキレTinkerやコンボ成立に賭けるしかなかった。霧の呼び手はここを封じるとともに、これまで呪い捕らえに任せきりだった1ターン目の挙動を埋めることにも貢献する。マーフォーク以外にとっても、封じ込める僧侶が青にも配属されたことは大変朗報だ。
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
霧の呼び手を生け贄に捧げる:ターン終了時まで、トークンでないクリーチャーが、それが唱えられることなく戦場に出るなら、代わりにそれを追放する。
1/1
マーフォークは打ち消しとして、FoW4・Mステ4に加えもう1枚なにか採用するというケースが多いため(目くらまし、ミスディレとか)そこを取って代わることが期待される。
Sai, Master Thopterist / 練達飛行機械職人、サイ (2)(青)2点ーこれは逆説で使いたいクリーチャーだ。3/1/4と稲妻らを耐えるスタッツ、召喚直後にMoxを出すだけでブロッカーが得られる即時性はサイの防御力を保証し、余ったアーティファクトをドローに変換する起動型能力は攻撃力を保証する。ボンバーマンに採用するのもよい。
伝説のクリーチャー — 人間(Human) 工匠(Artificer)
あなたがアーティファクト呪文を唱えるたび、飛行を持つ無色の1/1の飛行機械(Thopter)アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
(1)(青),アーティファクト2つを生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
1/4
Tezzeret, Artifice Master / 工匠の達人、テゼレット (3)(青)(青)2点ー5マナのテゼレットということで求道者を思い出してしまうが、その内実は大きく異なる。求道者テゼレットは、5マナ払ってターンが帰ってくれば勝ちの博打卡である。今回の工匠テゼレットは、むしろテフェリーやジェイスと比較されるべき卡だ。
伝説のプレインズウォーカー — テゼレット(Tezzeret)
[+1]:飛行を持つ無色の1/1の飛行機械(Thopter)アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
[0]:カードを1枚引く。あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしているなら、代わりにカードを2枚引く。
[-9]:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、あなたのライブラリーからパーマネント・カード1枚を探し、それを戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。」を持つ紋章を得る。
5
まず盤面干渉力については、忠誠度[+1]とはいえ、ソプター生成と貧弱なものであり、寒心に堪えない。ジェイス[-1]やテフェリー[-3]と比べて大きく劣る点といえる。奥義[-9]を見ても、修繕と大差なく、工匠テゼレットを採用するmotivationとはならないだろう...というか、本音を言えばソプター5回も出し続ける位ならドローしてそれで勝てといいたいところである。
やはり、工匠テゼレットの核心は[0]のドロー能力だ。これは金属術さえ達成すれば、ジェイス[0]をも越える圧倒的アドバンテージを叩き出す。では、金属術達成のハードルはどの程度高いか。これについて僕の意見は「簡単だが、全面的に信頼はできない」と考える。なぜなら、逆説ストームでもアーティファクト枚数は16枚くらいに留まり、ちょっと下振れすれば5ターン目でもアーティファクトが2枚以下ということは普通にある。またサイドボード後は特にそうなのだが、初手にアーティファクト満載の場合、それはそれでキープし辛い事情もある。そこを補うための[+1]ではないか、との声がありそうだが、これも結局そのターンのドローを断念している訳である。
長文でケチをつけたが、教義会の座席を加えるなどカバー手段は十分あるし、基本的に相当強力なドロー能力とみている。ただ、そもそも論になるが逆説にPWが必要か疑問であるので2点に留めた。
Infernal Reckoning / 冥府の報い (黒)0点ー明らかに下環境に向けてデザインされた卡である。ヴィンテージの場合、無色クリーチャーとして挙げられる仮想敵は3つだ。即ちWorkshop、エルドラージ、そしてTinker Golemである。
インスタント
無色のクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。あなたはそれのパワーに等しい点数のライフを得る。
Workshopは自殺手段を豊富に擁し、回復はあまり望めない相手だ。それでも、このマッチアップに対する黒除去としては四肢切断やPushを越え史上最高である。エルドラージに対する強力さは最早言葉にならない。Tinker Golemについても強いが、それ1枚のためだけにサイドインするかと言われればしないとは思う。
褒めているのに、なぜ点数が0なのかというと、現環境でPushがあまり使われてないためだ。ヴィンテージの黒デッキを見渡してみよう。
・逆説 大量ドローに全力を傾けるデッキだ。ここで黒は除去の色でなく、サーチとフィニッシャーの色である。
・DPS オールイン・コンボである。サーチ、ドロー、マナ加速そしてフィニッシャーの四役を担う主色として黒を据える。
・Czech Pile 最近レガシーを去った死儀礼を核とするミッドレンジであり、Pushも相応に使われている。
冥府の報いはヴィンテージでの使用に耐える有力卡だが、具体的な採用としてはCzech Pileのサイドボードで1~2枚程度に留まるかと予想する。
Plague Mare / 疫病牝馬 (1)(黒)(黒)1点ーこれまた下環境(はっきり言うとネメシス対策)用だろう。レガシーではデスタクを食えるがヴィンテージではこれといったカモが思いつかない。
クリーチャー — ナイトメア(Nightmare) 馬(Horse)
疫病牝馬は白のクリーチャーによってはブロックされない。
疫病牝馬が戦場に出たとき、ターン終了時まで、対戦相手がコントロールしているクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。
2/2
Alpine Moon / 高山の月 (赤)3点ー土地のマナ能力ではない特殊能力を封じる。具体的にはこの辺を封じられる。
エンチャント
高山の月が戦場に出るに際し、基本でない土地カードのカード名1つを選ぶ。
対戦相手がコントロールしていてその選ばれた名前を持つ土地はすべての土地タイプと能力を失い、「(T):好きな色1色のマナ1点を加える。」を得る。
・不毛の大地
☆ミシュラの工廠
☆Workshop
☆Bazaar
・露天鉱床
・LoA
・トレイリアのアカデミー
☆禁忌の果樹園
これらの中にはデッキ戦略の根幹を担う存在もあり(☆を付したもの)、軽く幅広い受けがあるのでサイドボードへの採用を期待する。
Runic Armasaur / 秘紋のアルマサウルス (1)(緑)(緑)2点ー起動だらけのWorkshopに対して壁兼ドローエンジンとなり、最高である。それ以外についても、死儀礼やフェッチランドを牽制できて腐ることがなく、非常に優秀なクリーチャーだ。シンボルが重いが、今サバイバルデッキが出てきているのでそこに入る可能性がある。
クリーチャー — 恐竜(Dinosaur)
対戦相手がクリーチャーか土地の、マナ能力でない能力を起動するたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
2/5
メモ:禁忌の果樹園は厳密にはマナ生成能力とタップ誘発能力が分離しているため(cf.真鍮の都)
Amulet of Safekeeping / 安全の護符 (2)1点ーデザインがまた汚いというかなんというか...さてヴィンテージのデッキにどのような影響があるのか考えてみよう。以下、デッキ名に続けて影響の程度を主観により付した。
アーティファクト
あなたが、対戦相手がコントロールしている呪文や能力の対象になるたび、それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。
クリーチャー・トークンは-1/-0の修整を受ける。
Workshop:小 - 搭載歩行機械のトークンが無力化。バリスタによるリーサルが弱体化。
メンター:小 - 導師・ヤンパイのトークンが弱体化。
逆説:小 - 導師のトークンが弱体化。フィニッシャーの苦悶の触手が無力化。
ドレッジ:極小 - セラピーが弱体化。ゾンビトークンが弱体化。とはいえ、いずれも出た時点で役割の8割は果たしている。
DPS:大 - 手札破壊が弱体化。フィニッシャーの苦悶の触手・巣穴からの総出が両方無力化。
僕が言いたいのはこれだ。この卡はどのデッキにも影響することができる。ところが、その度合いが、DPSは格別、「デッキ内のパーツ数種類の動きを鈍らせる」程度に留まってごく僅かなのだ。そのDPSも環境支配率は4%にすぎない。
積極的な使い道として、オースがメインから採用して果樹園による事故死を防ぐことは一応考えられる。しかし、まことに敗北主義的であり、勧められない。
コメント