ヴィンテージの荒廃と対策
2017年10月30日 Magic: The Gathering1.制限論の再燃
http://mtgtop8.com/event?e=17336&d=307236&f=VI
アメジストのとげ制限にも関わらず、Eternal WeekendがWorkshopの圧勝に終わったことは、全てのヴィンテージプレイヤーに衝撃を与えた。
強豪Brian Demarsは、この結果を受け即座に「Workshop Needs To Go」(https://www.channelfireball.com/articles/workshop-needs-to-go/)を執筆した。彼はこの記事において、各パーツ4枚(三なる宝球、虚空の杯、磁石のゴーレム、アメジストのとげ)の制限がWorkshopの抑制に功を奏さなかったことをまず振り返る。その上で、Mishra’s Workshop制限が引き起こすだろう様々な混乱にも言及しつつ、Mishra’s Workshop制限及び各パーツ制限解除を提案する。また、アメジストと同時になされた僧院の導師の制限にも触れ、唯一Workshopと互角に渡り合えた存在が消滅したことの影響も指摘している。
このような意見は右記事が初ではない。制限から遡ること1ヶ月も前、「Mishra’s Workshopを制限しようとか」(http://shootinglove.diarynote.jp/201707301836185329/)において同旨のエントリを投稿している大鍋兄貴の先見の明は、誠に感服の一言である。
2.私見
僕としても、この2つの記事に大変説得力を感じ、大筋で共感しているところだが、一点のみ意見を異にする箇所がある。それは、「Mishra’s Workshopを野放しにしていると個別のパーツが順次制限されることが予想されるが、その度に代替卡が発見され補充されてしまうので、Workshopのデッキパワーは落ちない。そのようなイタチごっこを続けるくらいなら、問題の根源であるMishra’s Workshopを制限し、抜本的に解決すべきだ」という箇所だ。これについて僕の意見を2つ述べてみたい。
a.Workshopの全てのパーツに代替可能性があるのか?
b.Workshopの身代わりになって個別の卡が次々と制限されるのは、本当に悪いことなのか?
a.アメジストのとげ制限直後に5/8を叩き出した今回の結果が全てだろう、といわれるかもしれないが、これまでの制限がもたらしたWorkshop占有率の推移について検証してみよう。
三なる宝球については、あまりに昔のこととて資料がないので割愛する。ただChampionship 2004ではWorkshopが4/8を占めたが、2005~2008では2/8以下に抑えられてはいる。
そこで、虚空の杯と磁石のゴーレムについてgoldfishで調べてみると...
そこで、現在4枚確定の卡について代替卡を見てみると...
b.「Workshop制限論」(http://bagupokemon.diarynote.jp/201707171958113819/)で述べたとおり、DCIはWorkshopに甘く、青系に厳しい傾向がある。Workshopは開闢以来Tier1を保ちながら、今回のアメジストを入れても制限わずかに4枚。一方の青系は10枚以上制限されている。その中には、閃光/商人の巻物や、今回の僧院の導師のようにデッキタイプの根幹に触れる制限も少なくない。
もっとも青も青で、お目こぼしをもらっている面がある。Force of Willや精神的つまづきは、その極めて高い採用率にも関わらずノータッチである(後者はむしろ制限してもらった方がWorkshopとの相性が良くなるけどな)。
青にとってのForce of WillがWorkshopにとってのMishra’s Workshopに相当すると考えてみると、これらの聖域には手を付けず、個別のパーツに突出したものが出たら制限していくという運営も、そうおかしなことではないだろう。
3.Mishra’s Workshop制限の後に来るもの
ここまでMishra’s Workshop制限を避けるスタンスから書いてきたが、では制限となったらどうなるのか?
「Workshop各論」(http://bagupokemon.diarynote.jp/201708220108458393/)で述べたとおり、制限されてもWorkshopが崩壊することはないと見ている。結局、制限は禁止とは違い、4枚を0でなく1枚にする規制なのだ。トレイリアのアカデミーも計算に入れてよければ5→2の変更だし、通常より2マナ加速すると考えてMana CryptとSol Ringも含めれば7→4だ。
僕個人の事情を言うと、実はここ最近Mishra’s Workshopを買っちまうかなとも考えていたが、制限の機運が高まったため、なかなか手を出せずにいた。恐らく躊躇しているのは僕だけではあるまい。Mishra’s Workshop制限におののく新規プレイヤーを救う唯一の方法はMishra’s Workshopを制限することだ。
4.結論
僕としては次のどちらかを支持する。
・Mishra’s Workshop 制限
+虚空の杯、アメジストのとげ 制限解除
(三なる宝球と磁石のゴーレムはeasy winを引き起こしすぎるため、制限に残したほうがいいと思う)
・抵抗の宝球、電結の荒廃者 制限
5.補遺
この長いものを書いている間にChallengeでメンターが再浮上し、WorkshopはTOP8に残らなかった。結局Eternal Weekendが最後のあだ花みたいな結論になったら恥ずかしい限りである。
http://mtgtop8.com/event?e=17336&d=307236&f=VI
アメジストのとげ制限にも関わらず、Eternal WeekendがWorkshopの圧勝に終わったことは、全てのヴィンテージプレイヤーに衝撃を与えた。
強豪Brian Demarsは、この結果を受け即座に「Workshop Needs To Go」(https://www.channelfireball.com/articles/workshop-needs-to-go/)を執筆した。彼はこの記事において、各パーツ4枚(三なる宝球、虚空の杯、磁石のゴーレム、アメジストのとげ)の制限がWorkshopの抑制に功を奏さなかったことをまず振り返る。その上で、Mishra’s Workshop制限が引き起こすだろう様々な混乱にも言及しつつ、Mishra’s Workshop制限及び各パーツ制限解除を提案する。また、アメジストと同時になされた僧院の導師の制限にも触れ、唯一Workshopと互角に渡り合えた存在が消滅したことの影響も指摘している。
このような意見は右記事が初ではない。制限から遡ること1ヶ月も前、「Mishra’s Workshopを制限しようとか」(http://shootinglove.diarynote.jp/201707301836185329/)において同旨のエントリを投稿している大鍋兄貴の先見の明は、誠に感服の一言である。
2.私見
僕としても、この2つの記事に大変説得力を感じ、大筋で共感しているところだが、一点のみ意見を異にする箇所がある。それは、「Mishra’s Workshopを野放しにしていると個別のパーツが順次制限されることが予想されるが、その度に代替卡が発見され補充されてしまうので、Workshopのデッキパワーは落ちない。そのようなイタチごっこを続けるくらいなら、問題の根源であるMishra’s Workshopを制限し、抜本的に解決すべきだ」という箇所だ。これについて僕の意見を2つ述べてみたい。
a.Workshopの全てのパーツに代替可能性があるのか?
b.Workshopの身代わりになって個別の卡が次々と制限されるのは、本当に悪いことなのか?
a.アメジストのとげ制限直後に5/8を叩き出した今回の結果が全てだろう、といわれるかもしれないが、これまでの制限がもたらしたWorkshop占有率の推移について検証してみよう。
三なる宝球については、あまりに昔のこととて資料がないので割愛する。ただChampionship 2004ではWorkshopが4/8を占めたが、2005~2008では2/8以下に抑えられてはいる。
そこで、虚空の杯と磁石のゴーレムについてgoldfishで調べてみると...
虚空の杯制限直近1年(2014/10/2~2015/10/1)…266/1157≒22%虚空の杯制限はほとんど影響を与えなかったが、磁石のゴーレムでは相応の影響があったようだ。実感としても、虚空の杯については他の卡に概ね同様の妨害を担わせることもできる、例えば無のロッドやSphereの連打がそれにあたるが、一方、4マナで妨害しながらパワー5を誇る磁石のゴーレムを代替できる卡は他にない。今後の制限にあたっては、代替可能性の低い卡を優先して制限することで、Workshopを安堵しつつ、危惧されたイタチごっこを防げるないだろうか。
虚空の杯制限・磁石のゴーレム未制限(2015/10/2~2016/4/7)…134/614≒21%
磁石のゴーレム制限~カラデシュ(2016/4/8~2016/9/30)…81/567≒14%
そこで、現在4枚確定の卡について代替卡を見てみると...
ファイレクシアの破棄者→真髄の針、魔術遠眼鏡こうしてみると電結の荒廃者、抵抗の宝球がよいか。前者はデッキの中心であるとともに代替可能性も低い。後者は代替可能性はそこまで低くなさそうだが、無のロッドを投入することはデッキ全体の見直しを迫るものだし、からみつく鉄線は(一応挙げはしたが)役割としてかなり違ってくる。
電結の荒廃者→活性機構?
鋳造所の検査官→金属細工師?
歩行バリスタ→トリスケリオン
抵抗の宝球→無のロッド、からみつく鉄線
b.「Workshop制限論」(http://bagupokemon.diarynote.jp/201707171958113819/)で述べたとおり、DCIはWorkshopに甘く、青系に厳しい傾向がある。Workshopは開闢以来Tier1を保ちながら、今回のアメジストを入れても制限わずかに4枚。一方の青系は10枚以上制限されている。その中には、閃光/商人の巻物や、今回の僧院の導師のようにデッキタイプの根幹に触れる制限も少なくない。
もっとも青も青で、お目こぼしをもらっている面がある。Force of Willや精神的つまづきは、その極めて高い採用率にも関わらずノータッチである(後者はむしろ制限してもらった方がWorkshopとの相性が良くなるけどな)。
青にとってのForce of WillがWorkshopにとってのMishra’s Workshopに相当すると考えてみると、これらの聖域には手を付けず、個別のパーツに突出したものが出たら制限していくという運営も、そうおかしなことではないだろう。
3.Mishra’s Workshop制限の後に来るもの
ここまでMishra’s Workshop制限を避けるスタンスから書いてきたが、では制限となったらどうなるのか?
「Workshop各論」(http://bagupokemon.diarynote.jp/201708220108458393/)で述べたとおり、制限されてもWorkshopが崩壊することはないと見ている。結局、制限は禁止とは違い、4枚を0でなく1枚にする規制なのだ。トレイリアのアカデミーも計算に入れてよければ5→2の変更だし、通常より2マナ加速すると考えてMana CryptとSol Ringも含めれば7→4だ。
僕個人の事情を言うと、実はここ最近Mishra’s Workshopを買っちまうかなとも考えていたが、制限の機運が高まったため、なかなか手を出せずにいた。恐らく躊躇しているのは僕だけではあるまい。Mishra’s Workshop制限におののく新規プレイヤーを救う唯一の方法はMishra’s Workshopを制限することだ。
4.結論
僕としては次のどちらかを支持する。
・Mishra’s Workshop 制限
+虚空の杯、アメジストのとげ 制限解除
(三なる宝球と磁石のゴーレムはeasy winを引き起こしすぎるため、制限に残したほうがいいと思う)
・抵抗の宝球、電結の荒廃者 制限
5.補遺
この長いものを書いている間にChallengeでメンターが再浮上し、WorkshopはTOP8に残らなかった。結局Eternal Weekendが最後のあだ花みたいな結論になったら恥ずかしい限りである。
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