0.導入
1.計算
まず両者の叩き出すライフアドバンテージについて理想的条件のもと計算してみよう。潤沢なマナ基盤のもと果敢クリーチャーを召喚し、手札にスペルx枚(ブレスト等)があると仮定する。相手が無抵抗のままターンが回ってきたとして、次のターンに得られるライフアドバンテージL_m(僧院の導師)、L_s(道の探求者)を考える。
僧院の導師:
まずLの最大値を与えるスペルの使い方を考える。
このターン中にトークン増量のためy枚を消費し、次のターンにx-y枚を消費したとすれば、
L_m=(2+x-y)+(1+x-y)*y
=-(y-x/2)^2+(x^2+4x+8)/4
xが偶数なら、このターンに半分、次のターンに半分を使うことで
L_m=(x^2+4x+8)/4
xが奇数なら、このターンに半分端数切り上げ、次のターンに残りを使うことで
L_m=(x^2+4x+7)点。
道の探求者:
次のターンに全てのスペルを使うことでLは最大となる。
L_s=2 for x=0 ; L_s=2x for otherwise
具体的なxをとり、L_mとL_sを比較すると
(x,L_s,L_m)=
(0,2,2)
(1,6,3)
(2,8,5)
(3,10,7)
(4,12,10)
(5,14,13)
(6,16,17)
(7,18,21)
(8,20,26)
(9,22,31)...
このように、ライフアドバンテージの面で道の探求者はかなりの所まで僧院の導師に食いついており、x=4までは上回ってさえいるのである。
2.現実的修整
このように数字を羅列した時、読者はある種の違和感を抱くだろう。プレイ上の実感として、導師の強さがこの程度に収まるはずはないからだ。そして、それは正しい。右の計算はあくまで計算であって、実際のプレイを正確に反映したものではないからだ。
a.ドローの連鎖
右の計算はドロー内容を考慮していない。しかし実際のところ、メンターは大量のドローを搭載するデッキであり、スペルが3枚あれば、たとえ少々不運であっても、次のターンまでにもう2枚はスペルが補充されてくるだろう。当然、xの増加は導師に有利である。
b.価値の非線形性
このゲームの目標は相手のライフを20から0にすることで、自分のライフを回復することは勝利に直接寄与しない。したがって、L_m(7)=21という点数は極めて重大な意味を帯びる(実際はL_m(6)=17でも十分致死量だろう)。一方、L_sのうち絆魂分は、具体的に何点からとはいいにくいが、一定のところまで到達すれば十分で、それ以上の回復にさしたる意味はない。点数は線形的に増加していくが、ゲームプレイ上の価値は漸減していくのである。
c.トークン自体のアドバンテージ
導師から沸いてきたトークンを防御に回すプレイは重要であるにもかかわらず、右の計算で度外視されている。トークンでブロックすることにより、次ターンの打点と引き換えにライフを守れるのだ。それで相手クリーチャーを打ち取ることができれば、それは即ちアドバンテージの獲得である。こればかりは探求者がどう頑張っても成し遂げることができない。勿論相手もそれを見越して攻撃を控えるなりするだろうが、結局それは非明示的な形でダメージの軽減(≒ライフ回復)を達成していることに変わりない。
また探求者は除去されたらそれまでだが、導師は本体が除去されてもトークンが引き続き脅威となる。
3.評価
このような短所もあるものの、探求者は依然としてplayableと考える。根拠は3つだ。
a.2マナは1ターン目の召喚が可能な軽さであり、序盤からのクロックとして合格点といえる。
b.導師との差は確かに大きいが、それは導師がオーバーパワーというだけで、制限の穴埋めとしては許容できる。
c.森の知恵と強いシナジーを持つ。
というわけでタッチ緑のメンターを使うなら候補になる卡と考える。
Seeker of the Way / 道の探求者 (1)(白)どう見てもヤバイ事しか書いていなかった僧院の導師に比べ、道の探求者は誠に地味であり、バランスの取れたアンコモンという印象しかないのが正直なところであろう(それどころかアイコニックでコモン落ちしてしまった)。しかし、探求者もヴィンテージでの使用に耐えられる強力卡だと考える。
クリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
果敢(あなたがクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、ターン終了時まで、このクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。)
あなたがクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、ターン終了時まで、道の探求者は絆魂を得る。
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1.計算
まず両者の叩き出すライフアドバンテージについて理想的条件のもと計算してみよう。潤沢なマナ基盤のもと果敢クリーチャーを召喚し、手札にスペルx枚(ブレスト等)があると仮定する。相手が無抵抗のままターンが回ってきたとして、次のターンに得られるライフアドバンテージL_m(僧院の導師)、L_s(道の探求者)を考える。
僧院の導師:
まずLの最大値を与えるスペルの使い方を考える。
このターン中にトークン増量のためy枚を消費し、次のターンにx-y枚を消費したとすれば、
L_m=(2+x-y)+(1+x-y)*y
=-(y-x/2)^2+(x^2+4x+8)/4
xが偶数なら、このターンに半分、次のターンに半分を使うことで
L_m=(x^2+4x+8)/4
xが奇数なら、このターンに半分端数切り上げ、次のターンに残りを使うことで
L_m=(x^2+4x+7)点。
道の探求者:
次のターンに全てのスペルを使うことでLは最大となる。
L_s=2 for x=0 ; L_s=2x for otherwise
具体的なxをとり、L_mとL_sを比較すると
(x,L_s,L_m)=
(0,2,2)
(1,6,3)
(2,8,5)
(3,10,7)
(4,12,10)
(5,14,13)
(6,16,17)
(7,18,21)
(8,20,26)
(9,22,31)...
このように、ライフアドバンテージの面で道の探求者はかなりの所まで僧院の導師に食いついており、x=4までは上回ってさえいるのである。
2.現実的修整
このように数字を羅列した時、読者はある種の違和感を抱くだろう。プレイ上の実感として、導師の強さがこの程度に収まるはずはないからだ。そして、それは正しい。右の計算はあくまで計算であって、実際のプレイを正確に反映したものではないからだ。
a.ドローの連鎖
右の計算はドロー内容を考慮していない。しかし実際のところ、メンターは大量のドローを搭載するデッキであり、スペルが3枚あれば、たとえ少々不運であっても、次のターンまでにもう2枚はスペルが補充されてくるだろう。当然、xの増加は導師に有利である。
b.価値の非線形性
このゲームの目標は相手のライフを20から0にすることで、自分のライフを回復することは勝利に直接寄与しない。したがって、L_m(7)=21という点数は極めて重大な意味を帯びる(実際はL_m(6)=17でも十分致死量だろう)。一方、L_sのうち絆魂分は、具体的に何点からとはいいにくいが、一定のところまで到達すれば十分で、それ以上の回復にさしたる意味はない。点数は線形的に増加していくが、ゲームプレイ上の価値は漸減していくのである。
c.トークン自体のアドバンテージ
導師から沸いてきたトークンを防御に回すプレイは重要であるにもかかわらず、右の計算で度外視されている。トークンでブロックすることにより、次ターンの打点と引き換えにライフを守れるのだ。それで相手クリーチャーを打ち取ることができれば、それは即ちアドバンテージの獲得である。こればかりは探求者がどう頑張っても成し遂げることができない。勿論相手もそれを見越して攻撃を控えるなりするだろうが、結局それは非明示的な形でダメージの軽減(≒ライフ回復)を達成していることに変わりない。
また探求者は除去されたらそれまでだが、導師は本体が除去されてもトークンが引き続き脅威となる。
3.評価
このような短所もあるものの、探求者は依然としてplayableと考える。根拠は3つだ。
a.2マナは1ターン目の召喚が可能な軽さであり、序盤からのクロックとして合格点といえる。
b.導師との差は確かに大きいが、それは導師がオーバーパワーというだけで、制限の穴埋めとしては許容できる。
c.森の知恵と強いシナジーを持つ。
というわけでタッチ緑のメンターを使うなら候補になる卡と考える。
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