Workshop制限論
2017年7月17日 Magic: The Gathering今日、Workshopの支配率は危険な領域に達しており、何らかの制限措置を検討すべきだ。この話題になるとよく言われる意見に、次のようなものがある。「Workshopは既に、虚空の杯/Chalice of the Voidと磁石のゴーレム/Lodestone Golemを立て続けに制限された。これ以上の制限はWorkshopに対する過度の迫害で好ましくない」
しかし、僕の考えでは、この指摘はあたらない。まずは制限リストを見てみよう。
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8
このうちマナ基盤に該当する卡は次のとおりだ。これらはWorkshopを含めたほぼ全デッキにとっての共有財産といえるだろう。
一方、虚空の杯及び磁石のゴーレムはそれぞれ登場からかなりの時間を置いての制限であり、Workshopが狙い撃ちにされたような印象を受けるのももっともである。
とはいえ、2015年のWorkshopは環境の優に30%以上を占める怪物的強力さを誇るデッキであり、虚空の杯が制限されても、同じくMox対策の機能をもつ無のロッド/Null Rod等によって即座に穴を埋め、支配率に大きな低下はなかった。
ところが磁石のゴーレムは流石に訳が違った。この超高性能クリーチャーを埋める枠はなく、同時期に登場していた難題の予見者/Thought-Knot Seerを採用するデッキもあったが劣化は覆い隠すべくもなかった。この時期、Workshopはヴィンテージ始まって以来の支配率1桁台を味わうことになる。
しかしながら、ヴィンテージに与えるところ乏しかったSOIブロックを挟んで次のKLDブロックはアーティファクトをテーマとし、強力なアーティファクト群によりWorkshopは勢力を再回復したのである。まず、鋳造所の検査官/Foundry Inspectorから1マナに軽量化されたSphereを置く挙動により、磁石のゴーレムの部分的再現がなされた。続いてAERでは純然たる強卡である歩行バリスタ/Walking Ballistaが登場、デッキパワーを一段と磨き上げた。このほか、斬りつける豹の強化版と言える性能を誇り、打点を向上させた高速警備車/Fleetwheel Cruiserも特記に値する。
こうして最強デッキ・メンターとも互角に戦える力量を身に着けた。そんな折、4月25日にメンター側に制限が加わった。それ以降のメタの進展はおおむね次のようになる。
5月 Workshop・メンター二強
6月 Workshop・メンター二強/直下に逆説
7月 Workshop一強/直下にメンター・逆説
このような形勢を受け、次の記事を上梓したところ、Twitter等で反響をいただけたようで何よりであった。
http://bagupokemon.diarynote.jp/201707081553575001/
さて右のような、2005年に1枚、2015年・2016年に立て続けに2枚という制限のペースは、本当にWorkshopにだけ厳しいものなのか?比較材料としてメンターのデッキを挙げよう。
http://mtgtop8.com/event?e=16130&d=299457&f=VI
結論すれば、ヴィンテージにおいて、青デッキが頻繁な制限を受けていたのとは対照的に、Workshopは例外的なほど寛大に取り扱われきた。チャリス・ゴーレムの制限も、急にWorkshopに厳しくなったというよりは青並の取り扱いに多少なりとも近づいたとみるのが妥当ではないかと考える。
しかし、僕の考えでは、この指摘はあたらない。まずは制限リストを見てみよう。
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8
このうちマナ基盤に該当する卡は次のとおりだ。これらはWorkshopを含めたほぼ全デッキにとっての共有財産といえるだろう。
Black Lotusこれらを除くと、Workshopの構成パーツのうちで制限されたものは次の3枚になる。
魔力の墓所/Mana Crypt
魔力の櫃/Mana Vault
Mox Emerald
Mox Jet
Mox Pearl
Mox Ruby
Mox Sapphire
太陽の指輪/Sol Ring
露天鉱床/Strip Mine
トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy
2005/03/20 三なる宝球/Trinisphere 制限三なる宝球は恐ろしい強さで、先攻1ターン目にWorkshopから出せば事実上1マナの時間の伸長/Time Stretch、いや不毛の大地等によるアシストも考えればそれ以上の強さである。その実現の容易さ、対処の困難さ(出されたら最後、除去やそれにつなげるマナ加速さえも3マナで固定されてしまうので逃げ道がない)からいっても、制限リストの中でも上位と思われる強力さであり、登場後1年という短期間での制限も頷ける。
2015/10/02 虚空の杯/Chalice of the Void 制限
2016/04/08 磁石のゴーレム/Lodestone Golem 制限
一方、虚空の杯及び磁石のゴーレムはそれぞれ登場からかなりの時間を置いての制限であり、Workshopが狙い撃ちにされたような印象を受けるのももっともである。
とはいえ、2015年のWorkshopは環境の優に30%以上を占める怪物的強力さを誇るデッキであり、虚空の杯が制限されても、同じくMox対策の機能をもつ無のロッド/Null Rod等によって即座に穴を埋め、支配率に大きな低下はなかった。
ところが磁石のゴーレムは流石に訳が違った。この超高性能クリーチャーを埋める枠はなく、同時期に登場していた難題の予見者/Thought-Knot Seerを採用するデッキもあったが劣化は覆い隠すべくもなかった。この時期、Workshopはヴィンテージ始まって以来の支配率1桁台を味わうことになる。
しかしながら、ヴィンテージに与えるところ乏しかったSOIブロックを挟んで次のKLDブロックはアーティファクトをテーマとし、強力なアーティファクト群によりWorkshopは勢力を再回復したのである。まず、鋳造所の検査官/Foundry Inspectorから1マナに軽量化されたSphereを置く挙動により、磁石のゴーレムの部分的再現がなされた。続いてAERでは純然たる強卡である歩行バリスタ/Walking Ballistaが登場、デッキパワーを一段と磨き上げた。このほか、斬りつける豹の強化版と言える性能を誇り、打点を向上させた高速警備車/Fleetwheel Cruiserも特記に値する。
こうして最強デッキ・メンターとも互角に戦える力量を身に着けた。そんな折、4月25日にメンター側に制限が加わった。それ以降のメタの進展はおおむね次のようになる。
5月 Workshop・メンター二強
6月 Workshop・メンター二強/直下に逆説
7月 Workshop一強/直下にメンター・逆説
このような形勢を受け、次の記事を上梓したところ、Twitter等で反響をいただけたようで何よりであった。
http://bagupokemon.diarynote.jp/201707081553575001/
さて右のような、2005年に1枚、2015年・2016年に立て続けに2枚という制限のペースは、本当にWorkshopにだけ厳しいものなのか?比較材料としてメンターのデッキを挙げよう。
http://mtgtop8.com/event?e=16130&d=299457&f=VI
15 LANDSこのデッキにおいて、マナ基盤関係を除いた制限卡は次のとおり。
1 Flooded Strand
1 Island
1 Library of Alexandria
1 Misty Rainforest
1 Polluted Delta
4 Scalding Tarn
1 Strip Mine
3 Tundra
2 Volcanic Island
8 CREATURES
3 Jace, Vryn’s Prodigy
4 Monastery Mentor
1 Snapcaster Mage
28 INSTANTS and SORC.
1 Ancestral Recall
1 Brainstorm
1 Dig Through Time
4 Force of Will
1 Fragmentize
1 Gitaxian Probe
1 Gush
4 Mental Misstep
1 Merchant Scroll
1 Mystical Tutor
1 Ponder
4 Preordain
2 Pyroblast
3 Swords to Plowshares
1 Time Walk
1 Treasure Cruise
9 OTHER SPELLS
1 Black Lotus
2 Dack Fayden
1 Mox Emerald
1 Mox Jet
1 Mox Pearl
1 Mox Ruby
1 Mox Sapphire
1 Stony Silence
SIDEBOARD
1 Balance
3 Containment Priest
1 Fragmentize
3 Grafdigger’s Cage
4 Ingot Chewer
1 Mountain
1 Pyroblast
1 Stony Silence
Ancestral Recall 2004/9/20このとおり12枚もの卡が制限を蒙っている。Ancestral Recall等は黎明期の名残とみて数えないとしても7枚、どちらにせよWorkshopよりずっと多い。
Balance 2004/9/20
Library of Alexandria 2004/9/20
Mystical Tutor 2004/9/20
Time Walk 2004/9/20
Brainstorm 2008/6/20
Merchant Scroll 2008/6/20
Ponder 2008/6/20
Treasure Cruise 2015/1/23
Dig Through Time 2015/10/2
Gitaxian Probe 2017/4/24
Gush 2017/4/24
結論すれば、ヴィンテージにおいて、青デッキが頻繁な制限を受けていたのとは対照的に、Workshopは例外的なほど寛大に取り扱われきた。チャリス・ゴーレムの制限も、急にWorkshopに厳しくなったというよりは青並の取り扱いに多少なりとも近づいたとみるのが妥当ではないかと考える。
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