ヴィンテージ制限リスト考
2017年7月7日 Magic: The Gathering1.現状
ヴィンテージの二極化が止まらない。噴出・ギタクシア制限を受け、1ヶ月前に書いた考察(http://bagupokemon.diarynote.jp/201706090113269793/)では、メンターの爆発力低下がBig Blueの復権を招いたものと評釈するとともに、青赤デルバーの台頭を期待して結んだ。しかし悲しいかな、事態はそのように推移しなかった。
Big Blue、というよりも逆説(逆説的な結果/Paradoxical Outcome)は確かに第三勢力としての地位を確かにした、しかしその活躍はMOのDailyレベルであり、大規模大会となると、やはり勝ち上がってくるのはWorkshopとメンターなのである。とりわけNYSE VはTOP8にWorkshop4メンター4という極端な結果となった。
その結果、直近2ヶ月間(つまり制限後の環境)のメタゲームは、拮抗するWorkshopとメンターが合計50%以上を占め、逆説が15%、あとはどんぐりの背比べである。この状況は明らかに不健全であり、破滅の刻による改善も見込めない以上、何らかの措置が必要であろう。
http://mtgtop8.com/archetype?a=124&meta=82&f=VI
2.制限論
最も多く見られる意見は、デッキ名と同じ名前の卡を制限するというもの、つまり僧院の導師またはMishra’s Workshop制限だ。この意見は故ないことではない、事実として僧院の導師はMoxや探査ドローと相性が良すぎるし、Mishra’s Workshopはレガシー禁止の実力者だ。どちらも制限リストの面々と比較しても見劣りしない。しかし、それはメンターやWorkshopといったアーキタイプそのものを完全に破壊することになり、ウィザーズの望むところではないだろう。1年前、磁石のゴーレム制限時の声明にもこうある。
http://magic.wizards.com/ja/articles/archive/news/20160404
以下、支配率に関してmtggoldfishのformat stapleを参考資料とする。
https://www.mtggoldfish.com/format-staples/vintage
(メンター)精神的つまづき/Mental Misstep
精神的つまづきの最良の対策が精神的つまづきであることで、採用デッキは66%にのぼり、その中での平均枚数は、この1年間、3.4枚と高止まりしている。支配率=採用デッキ割合×平均採用枚数が55%だから、ヴィンテージのデッキ60枚中2枚強が精神的つまづきに占められ、デッキ構築の幅を狭めているものと認められる。
このように青デッキが相食むなか、漁夫の利を得るのがWorkshop、エルドラージらTaxingである。また、青の中で見ても、メンターには導師をフルタップで召喚した直後の除去をカウンター&トークン生成することで逆に布陣を盤石化するという使い道があり、他のデッキよりも有効活用している。
強さ、支配率、メタゲームへの作用、他フォーマットにおける禁止状況、どこをとっても制限が妥当に思える。精神的つまづきより支配率の高い唯一の卡、Force of Will同様の殿堂枠に入っているというなら別だが...
(メンター)定業/Preordain
Workshopとの相性は良くも悪くもない。これも非常に高い支配率を誇る卡で(4位)エクステンデッド・モダンの禁止歴もある。また思案が制限でこれが野放しというのも不公平感がある。
とはいえ、これまで制限してしまうと、青のキャントリップが少なくなりすぎるので、考えにくい。
(Workshop)抵抗の宝球/Sphere of Resistance,アメジストのとげ/Thorn of Amethyst
これらはWorkshopの背骨となる卡であるとともに、軽量呪文を連打するメンターのみならず、同様の戦略を基本とする青デッキ全般への強烈なhateだ。同型で弱いものの、これらを4枚ずつ合計8枚取ることは(鉄線等がクリーチャーに取って代わられることがあるのに対して)ほぼ固定であり、両方とも支配率ベスト10に入っている。
どちらかを制限してこの枠を8枚から5枚に縮小することは、デッキを存続させつつその力を削ぐことになり、検討しうる選択肢だと思う。
ということで、2極体制を崩すための制限候補を2デッキの中に求めるならば
・精神的つまづき
・アメジストのとげ
が有力と思料する。
3.解禁論
もう1つの方法は、制限リストの中から比較的危険性が低く、かつWorkshopやメンターを利さない卡を解禁することだ。それを僕なりに見繕ってみると...
解禁といえば磁石のゴーレム制限解除の意見も一部で見受けるが、現時点でそれは虎に翼を授けるの例えそのものである。TfKがVault Control抑制のために制限されてから戻ってくるまでに6年要したことから外挿しても、磁石のゴーレムが解禁されるのは早くて2020年頃になるのではないか。
ヴィンテージの二極化が止まらない。噴出・ギタクシア制限を受け、1ヶ月前に書いた考察(http://bagupokemon.diarynote.jp/201706090113269793/)では、メンターの爆発力低下がBig Blueの復権を招いたものと評釈するとともに、青赤デルバーの台頭を期待して結んだ。しかし悲しいかな、事態はそのように推移しなかった。
Big Blue、というよりも逆説(逆説的な結果/Paradoxical Outcome)は確かに第三勢力としての地位を確かにした、しかしその活躍はMOのDailyレベルであり、大規模大会となると、やはり勝ち上がってくるのはWorkshopとメンターなのである。とりわけNYSE VはTOP8にWorkshop4メンター4という極端な結果となった。
その結果、直近2ヶ月間(つまり制限後の環境)のメタゲームは、拮抗するWorkshopとメンターが合計50%以上を占め、逆説が15%、あとはどんぐりの背比べである。この状況は明らかに不健全であり、破滅の刻による改善も見込めない以上、何らかの措置が必要であろう。
http://mtgtop8.com/archetype?a=124&meta=82&f=VI
2.制限論
最も多く見られる意見は、デッキ名と同じ名前の卡を制限するというもの、つまり僧院の導師またはMishra’s Workshop制限だ。この意見は故ないことではない、事実として僧院の導師はMoxや探査ドローと相性が良すぎるし、Mishra’s Workshopはレガシー禁止の実力者だ。どちらも制限リストの面々と比較しても見劣りしない。しかし、それはメンターやWorkshopといったアーキタイプそのものを完全に破壊することになり、ウィザーズの望むところではないだろう。1年前、磁石のゴーレム制限時の声明にもこうある。
http://magic.wizards.com/ja/articles/archive/news/20160404
私たちは、不均衡なメタゲームを監視し続けています。特に、《Mishra’s Workshop》系のデッキは今でもかなり多すぎ、トーナメントのメタゲームを破壊しています。この問題はその名前となっているカードを禁止することで解決できるかもしれませんが、私たちは可能ならばそのデッキをトーナメント・レベルに保ち、一方でその頻度はフォーマットがより多様性を持つ程度にしたいと思っています。《磁石のゴーレム》は、一方的なゲームを引き起こしています。このカードが《Mishra’s Workshop》デッキに1枚しか入らないようにすることで、デッキの強度は適当なレベルまで引き下げられることを期待しています。この理由から、《磁石のゴーレム》を制限します。僧院の導師やMishra’s Workshopの制限は最後の手段であり、4月25日制限と同じ手をまた打とうというのがウィザーズの思惑ではあるまいか。即ち、メンターの構成物のうちWorkshopに弱いもの(または逆に、Workshopの構成物のうちメンターに弱いもの)を規制することで共倒れさせる手法だ。
以下、支配率に関してmtggoldfishのformat stapleを参考資料とする。
https://www.mtggoldfish.com/format-staples/vintage
(メンター)精神的つまづき/Mental Misstep
精神的つまづきの最良の対策が精神的つまづきであることで、採用デッキは66%にのぼり、その中での平均枚数は、この1年間、3.4枚と高止まりしている。支配率=採用デッキ割合×平均採用枚数が55%だから、ヴィンテージのデッキ60枚中2枚強が精神的つまづきに占められ、デッキ構築の幅を狭めているものと認められる。
このように青デッキが相食むなか、漁夫の利を得るのがWorkshop、エルドラージらTaxingである。また、青の中で見ても、メンターには導師をフルタップで召喚した直後の除去をカウンター&トークン生成することで逆に布陣を盤石化するという使い道があり、他のデッキよりも有効活用している。
強さ、支配率、メタゲームへの作用、他フォーマットにおける禁止状況、どこをとっても制限が妥当に思える。精神的つまづきより支配率の高い唯一の卡、Force of Will同様の殿堂枠に入っているというなら別だが...
(メンター)定業/Preordain
Workshopとの相性は良くも悪くもない。これも非常に高い支配率を誇る卡で(4位)エクステンデッド・モダンの禁止歴もある。また思案が制限でこれが野放しというのも不公平感がある。
とはいえ、これまで制限してしまうと、青のキャントリップが少なくなりすぎるので、考えにくい。
(Workshop)抵抗の宝球/Sphere of Resistance,アメジストのとげ/Thorn of Amethyst
これらはWorkshopの背骨となる卡であるとともに、軽量呪文を連打するメンターのみならず、同様の戦略を基本とする青デッキ全般への強烈なhateだ。同型で弱いものの、これらを4枚ずつ合計8枚取ることは(鉄線等がクリーチャーに取って代わられることがあるのに対して)ほぼ固定であり、両方とも支配率ベスト10に入っている。
どちらかを制限してこの枠を8枚から5枚に縮小することは、デッキを存続させつつその力を削ぐことになり、検討しうる選択肢だと思う。
ということで、2極体制を崩すための制限候補を2デッキの中に求めるならば
・精神的つまづき
・アメジストのとげ
が有力と思料する。
3.解禁論
もう1つの方法は、制限リストの中から比較的危険性が低く、かつWorkshopやメンターを利さない卡を解禁することだ。それを僕なりに見繕ってみると...
チャネル/Channelこの辺りから何か解禁してコンボを強化する選択肢はあり得る。
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解禁といえば磁石のゴーレム制限解除の意見も一部で見受けるが、現時点でそれは虎に翼を授けるの例えそのものである。TfKがVault Control抑制のために制限されてから戻ってくるまでに6年要したことから外挿しても、磁石のゴーレムが解禁されるのは早くて2020年頃になるのではないか。
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