奇跡の禁止問題
2016年6月19日 Magic: The Gathering コメント (1)僕はヴィンテージを専らにするプレイヤーなので,この話題には本来門外漢ではあるが,禁止制限は誰にとっても重要な問題なので少し考えてみた.
まず,奇跡デッキの現状について.
占有率
mtgdecksによれば,奇跡はここ1年でじわじわ増加しており,今19%である.通常,この数字は直ちに規制を求めるレベルではないが,レガシーではかなり高くはある.GPではTOP8の多くを占めたが,レガシーで奇跡が多いというよりも,トッププレイヤーが好んで選択したという印象が強い.ただ冬の宝珠のような対奇跡卡がメインから投入される等,環境の歪みが看取されてきているのも事実である.
概要
デッキパワー(完成度)ではレガシーのライバル達と比べても高い.基本土地・カウンター・除去といったフェア要素を多く持つため,相手のイージーウィンを許さず,対策卡1枚で完封されることもない弾力性があり,常に一定数がいる.
メタゲーム上の位置
レガシーの多くを占めるクロックパーミッションに強く,相殺独楽により,デッキの多くが1マナで占められるエルフのようなデッキにも有利(副産物としてローグにも強い).一方でBUGやジャンドといった明確な苦手デッキもある(そのため奇跡を倒すために奇跡,というメタ展開にならないのは大きく安堵できるところだ).
プレイヤーの好悪
それほど嫌われ者ではない.相殺独楽は手軽さの割に結構な拘束力をがあり,時にannoyingかもしれないが,全体としてはお互いの対話を重視する健全なデッキだ.プレイングやメタ読みに合わせたチューン等,プレイヤーの力量を問う面も大きい.また,これが消えては青白コントロールという根強い愛好者を持つアーキタイプがレガシーからなくなってしまうという問題もある.
総じて,規制するほど問題化してはいないと感じる.では卡単位ではどうか?
渦まく知識/Brainstorm
卡力,多様性,色の強さの均衡といった観点からは禁止に値する.だが,プレイヤー達は事故を防ぎ,技量を試してくれる渦まく知識を愛しているため禁止されることはなく,これからも変わらずレガシーの象徴であり続けるだろう.
師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top
最も規制されるおそれが強い卡.単体でも稀有な有能卡だが,奇跡においてはソフトロックにライブラリトップ調整に相手ターンの終末にと多機能すぎる.しかも,毎ターンの起動によりゲームの長期化を招く(この観点はまた,Extやモダンで禁止したものをなぜレガシーでだけ野放しにするのかという鋭い質問を呼ぶ)巻物棚や占いといった代役もなくはないのだが,独楽には遥かに及ばない.奇跡の屋台骨である独楽の禁止は,文字通りその瓦解を招く(それゆえに,影響が大きすぎるとして禁止を見送られる可能性も高い).
相殺/Counterbalance
奇跡で一番嫌われているのはきっとこれだろう.しかしそこまで強くはない.独楽は相殺がなくとも仕事をするが,独楽のない相殺は大したことがない.相殺を積んでいない奇跡すらある(逆に,禁止しても奇跡デッキを潰しはしないという理由で槍玉に挙げられる可能性も).
終末/Terminus
まあ,これを規制するのはリアニメイトを止めるためにグリセルブランドを禁止するようなもので,不合理だろう(この例えなら禁止は再活性あたりになるはずだ).
精神を刻む者,ジェイス/Jace, the Mind Sculptor
こいつはレガシーで10番目に使われており,呪文部門では4位である.4マナPWがマナクリーチャーの死儀礼より多いというのは流石に不健全の謗りを免れないが,ともかく神ジェイスを規制することで,奇跡をデッキとして存続させつつも力を削ぎ,中盤以降の組み立てについて各プレイヤーが模索するといった好結果が得られるかもしれない.しかし彼は奇跡以外の職場でも多くの仕事をこなしており,また多数のファンを獲得してもいるので,そうした人々を失望させてまで行うべき措置かは大いに疑問だ.
結論としては,多分禁止はされないと思うが,しかし独楽が禁止されても驚かない.
まず,奇跡デッキの現状について.
占有率
mtgdecksによれば,奇跡はここ1年でじわじわ増加しており,今19%である.通常,この数字は直ちに規制を求めるレベルではないが,レガシーではかなり高くはある.GPではTOP8の多くを占めたが,レガシーで奇跡が多いというよりも,トッププレイヤーが好んで選択したという印象が強い.ただ冬の宝珠のような対奇跡卡がメインから投入される等,環境の歪みが看取されてきているのも事実である.
概要
デッキパワー(完成度)ではレガシーのライバル達と比べても高い.基本土地・カウンター・除去といったフェア要素を多く持つため,相手のイージーウィンを許さず,対策卡1枚で完封されることもない弾力性があり,常に一定数がいる.
メタゲーム上の位置
レガシーの多くを占めるクロックパーミッションに強く,相殺独楽により,デッキの多くが1マナで占められるエルフのようなデッキにも有利(副産物としてローグにも強い).一方でBUGやジャンドといった明確な苦手デッキもある(そのため奇跡を倒すために奇跡,というメタ展開にならないのは大きく安堵できるところだ).
プレイヤーの好悪
それほど嫌われ者ではない.相殺独楽は手軽さの割に結構な拘束力をがあり,時にannoyingかもしれないが,全体としてはお互いの対話を重視する健全なデッキだ.プレイングやメタ読みに合わせたチューン等,プレイヤーの力量を問う面も大きい.また,これが消えては青白コントロールという根強い愛好者を持つアーキタイプがレガシーからなくなってしまうという問題もある.
総じて,規制するほど問題化してはいないと感じる.では卡単位ではどうか?
渦まく知識/Brainstorm
卡力,多様性,色の強さの均衡といった観点からは禁止に値する.だが,プレイヤー達は事故を防ぎ,技量を試してくれる渦まく知識を愛しているため禁止されることはなく,これからも変わらずレガシーの象徴であり続けるだろう.
師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top
最も規制されるおそれが強い卡.単体でも稀有な有能卡だが,奇跡においてはソフトロックにライブラリトップ調整に相手ターンの終末にと多機能すぎる.しかも,毎ターンの起動によりゲームの長期化を招く(この観点はまた,Extやモダンで禁止したものをなぜレガシーでだけ野放しにするのかという鋭い質問を呼ぶ)巻物棚や占いといった代役もなくはないのだが,独楽には遥かに及ばない.奇跡の屋台骨である独楽の禁止は,文字通りその瓦解を招く(それゆえに,影響が大きすぎるとして禁止を見送られる可能性も高い).
相殺/Counterbalance
奇跡で一番嫌われているのはきっとこれだろう.しかしそこまで強くはない.独楽は相殺がなくとも仕事をするが,独楽のない相殺は大したことがない.相殺を積んでいない奇跡すらある(逆に,禁止しても奇跡デッキを潰しはしないという理由で槍玉に挙げられる可能性も).
終末/Terminus
まあ,これを規制するのはリアニメイトを止めるためにグリセルブランドを禁止するようなもので,不合理だろう(この例えなら禁止は再活性あたりになるはずだ).
精神を刻む者,ジェイス/Jace, the Mind Sculptor
こいつはレガシーで10番目に使われており,呪文部門では4位である.4マナPWがマナクリーチャーの死儀礼より多いというのは流石に不健全の謗りを免れないが,ともかく神ジェイスを規制することで,奇跡をデッキとして存続させつつも力を削ぎ,中盤以降の組み立てについて各プレイヤーが模索するといった好結果が得られるかもしれない.しかし彼は奇跡以外の職場でも多くの仕事をこなしており,また多数のファンを獲得してもいるので,そうした人々を失望させてまで行うべき措置かは大いに疑問だ.
結論としては,多分禁止はされないと思うが,しかし独楽が禁止されても驚かない.
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