5色人間概論
2016年5月9日 Magic: The Gathering コメント (2)RUPPON Michael - 5CC Fish - Top 8 VintageMichael Ruppenはスイスラウンドを成績1位で突破し,決勝ラウンドでも3人の強豪達を撫で斬りにして栄冠を手にした.
Main Deck 60
4 Noble Hierarch
4 Thalia, Guardian of Thraben
4 Scab-Clan Berserker
3 Dark Confidant
3 Mantis Rider
3 Mayor of Avabruck
3 Containment Priest
3 Qasali Pridemage
2 Grand Abolisher
2 Reflector Mage
3 Abrupt Decay
1 Time Walk
1 Ancestral Recall
1 Black Lotus
1 Mox Emerald
1 Mox Ruby
1 Mox Sapphire
1 Mox Jet
1 Mox Pearl
4 Cavern of Souls
4 Gemstone Mine
4 City of Brass
4 Mana Confluence
1 Strip Mine
1 Wasteland
Sideboard 15
1 Grand Abolisher
1 Containment Priest
1 Abrupt Decay
1 Reflector Mage
2 Wasteland
3 Surgical Extraction
3 Stony Silence
3 Izzet Staticaster
生物が過半を占めるそのデッキは,徹頭徹尾クリーチャーを尊んでノンクリーチャー呪文を卑しめる思想に基づいている.それでは,パーツ単位で分析してみよう.
1.マナ基盤
4 Cavern of Soulsこのデッキの源泉である.2年半前の僕は http://bagupokemon.diarynote.jp/201309130116361913/ において,「魂の洞窟から唱えるためにクリーチャーを入れるという本末転倒を犯すと,デッキも調和を欠き弱くなってしまう」ので,あくまでクリーチャーの補助として使うのが正道であると評した.しかし,その判断は尚早であって,実は魂の洞窟はデッキの核を担うだけの力を持つ卡であることが実証された.自らの不明を恥じ入るとともに,Stormanimagus氏をはじめとする,5色人間を徹底研究して一端のデッキまで大成したプレイヤー達の努力に深く感服するものである.
4 Gemstone Mine魂の洞窟に続く5色地形.このデッキは色拘束の濃い卡も多いので,5色を淀みなく供給することが重要であり,マナの合流点によって最も恩恵を受けたデッキともいえる.次点は古代の聖塔/Ancient Zigguratか.
4 City of Brass
4 Mana Confluence
1 Strip Mineこれらの役割は他のデッキで使う場合と変わりない.すなわち,戦場の優位を固定して敵の反撃を摘む.
1 Wasteland
1 Black LotusMoxen.1ターン目にサリアを出すのがこのデッキの勝ちパターンの1つであり,これらの宝石に託された最重要の任務でもある.
1 Mox Emerald
1 Mox Ruby
1 Mox Sapphire
1 Mox Jet
1 Mox Pearl
2.スペル
3 Abrupt Decay魂の洞窟を出発点とし,サリアを4枚投入する5色人間において,スペルであることは相当のハンデである.それを乗り越えて選抜されたこの3種5枚は,さしずめスペル界の状元・榜眼・探花と言ったところか.
1 Time Walk
1 Ancestral Recall
3.クリーチャー
4 Noble Hierarch戦えるマナ・クリーチャーとしての役割が第一であること,彼女を採用する他のデッキと変わりない.しかし,このデッキの土地はいずれも,5色を扱えることの代償としてライフロス等の馬鹿にならないデメリットを抱えているのであり,そういった痛みを生じないマナ基盤という役割も担っていると思われる.
4 Thalia, Guardian of Thraben最重要の卡であり,デッキ全体の方針に最も合致した卡でもある.伝説という弱点を考慮しても4枚は必然である.
4 Scab-Clan Berserkerいくら5色土地が多いとはいえ,1RRは貴族の教主とも合わず,そうやすやすと払えるコストではない.それを押して4枚投入したことはデザイナーの確固たる意図を示すものであり,また5色人間を優勝に導いた要因でもある.瘡蓋族の狂戦士の攻撃速度は恐ろしく速いため,一種のロックとして機能する.というのは,まず単純計算で,狂戦士が睨みを利かしている限りは8回までしかスペルを唱えられなくなる(横にもクリーチャーがいるだろうし,次ターン以降高名の3/3で殴れるので,実態としては9回よりずっと少なくなる)ことが第一にあり,第二に狂戦士を真っ先に除去せざるを得ない状況に追い込むことによって,他のロック・クリーチャーに対する避雷針的機能を発揮するためである.嗚呼,しかも彼女はその除去にさえも反応し,冥途の土産とばかり,なけなしのライフ2点を奪っていくのだ!
3 Dark Confidant4枚積みのクリーチャーがデッキの方針を決定づけるとすれば,3枚積みのクリーチャーはデッキの力を引き上げ,その厚みを増す存在といえるだろう,上記5種のクリーチャーは,素の卡力が高いものから,メタゲームの産物による登用まで勢揃いであるが,それぞれが異なる役割を担い,しかもデッキコンセプトと齟齬を来さないでいるのは好印象だ.
3 Mantis Rider
3 Mayor of Avabruck
3 Containment Priest
3 Qasali Pridemage
2 Grand Abolisher2枚積みのこれらは,汎用性の点で一歩劣るが,その分ドツボにはまった時の見返りが大きい.
2 Reflector Mage
幾分荒っぽいものではあったが,一応の通読を果たした.こういう趣旨をもったデッキは,従来のヴィンテージに全く存在しなかった訳ではないが,メタゲーム上の問題にならない程度には少数派であった.それがここ2年程に加わった新戦力を多く交え,BOMという大舞台で鮮やかな勝利を飾ったことはヴィンテージの新たな息吹を感じさせるもので,いかにも喜ばしい.
コメント
大学のゼミで市定先生の本を読んでいたので懐かしい思いです。
状元・榜眼・探花の喩えも秀逸でした。
五色人間は一度組んでみたいと思いましたので参考にさせて頂きます。