最弱への旅１

2016年4月16日 Magic: The Gathering コメント (3)

ヴィンテージ点数企画では，マジック22年15000枚の中から選りすぐりの強卡ばかりを眺めて過ごしたので，目がすっかり肥えてしまった．これではスタンダードをやろうにも，石の宣告を見ればソープロを，予期を見ればAncestral Recallを，イニ影ランドを見ればフェッチランドを思い出してしまい，手に付かない恐れがある．ここはマジック22年15000枚の中から選りすぐられた雑魚を見て中和するほかあるまい．という治療を思い立ったのは，http://web.archive.org/web/20080731172108/http://braingeyser.at.infoseek.co.jp/04/0217b.html　を見て感銘を受けたのもある．これはダークスティールあたりに執筆されたものだが，あれから10年が経過し，ここにリストアップされた連中と拳で語り合えそうな卡が排出もとい輩出されただけでなく，逆に順位を得た卡が相方を見つけるなどしてめでたく卒業したケースもあった．そのアップデートを図るとともに，独自に弱卡の改善案も考えてみたい．

さて，ヴィンテージ環境の整理では，最新エキスパンションから古い方へ古い方へと辿っていった．今回はその逆を行き，βからイニストラードを覆う影に向けて出発することとしたい．パワー9をはじめとする最強卡と，大多数のゴミが同居し，その中間つまり適正なパワーレベルを持った卡が極めて少ないセット(いないことはない，白騎士とか)だが，最も弱いと思ったのがこいつだ

Farmstead (白)(白)(白)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント（土地）
エンチャントされている土地は「あなたのアップキープの開始時に、あなたは(白)(白)を支払ってもよい。そうした場合、あなたは１点のライフを得る。」を持つ。

Laceサイクルも単独でのニート加減，レア枠を5枚費やすという迷惑さの点で相当なものだが，これらはいつでも唱えることができ，今よりも多かった色参照の各種効果に浴することも期待できた．Farmsteadの場合，任された仕事を単体でやるという美点はある．しかし，いやに強い色拘束のせいで，白単でもなければそう気楽には唱えられない．加えて，土地へのオーラという脆弱性，次のアップキープを迎えるまでは誘発しないというテンポの遅れ，ここまで背負って何がもらえるかといえばWWを払って1ライフを買う権利のみである(しかも1ターンに1回だけ)．これはLaceの上を行く逸材と言ってよいのではないだろうか．

まあでも，こういう卡ができてしまった経緯も理解できなくはない．何と言っても最初のエキスパンションなので，卡の強弱についても全く手探り状態だったろう．我々は同じ「３」でもドローするのとライフを得るのではわけが違うと知っているが，当時はレアリティの差で解決できる問題と考えられていたほどだ．草創期のセットにはまた，パーマネントを危険性の高いものと捉え，弱めに調整しようとした節も感じる．これも異様に重いという点に目をつぶれば無限にライフを供給し続ける装置となり得たわけで，デザインに慎重を期するのもうなずける．

しかし結果としては，Farmsteadより3倍くらい强化されているアジャニのマントラさえ構築級ではなく，リミテッドでもそれほど優先される卡ではなかった．

改善案