これ以上考えられないほどMUDに適したクリーチャーだった.わずか1行のテキストが数多のプレインズウォーカーを苦しめ,パワー5の豪腕が彼らを屠っていった.

具体的にはこうだ.先攻1ターン目に磁石のゴーレムをプレイ,対戦相手はMoxと稲妻のそろった手札を見つめ,FoWを温存しようと通す.そこでX=0のチャリスを追加,相手はFoWを切ろうにもコストが増加していて唱えることができない.こういうプレイはアーティファクトにのみ作用しない特質を最大限生かしたものだった.

もっとも,磁石のゴーレムの真骨頂はもっとシンプルに,ファイレクシアの変形者でコピーして畳み掛けるというものだろう.その決定力,コンボと呼んで恥じないレベルの完成度だった.

そもそも磁石のゴーレムから能力を取り払ったバニラですら,登場前後までは普通に運用されていたわけで,こんなクリーチャーが出てしまってはTier1.5あたりをうろうろしていたMUDが環境最強デッキまで飛躍したのも当然だ.MOを中心にあらゆる栄冠を手にした,そんなゴーレムが1つ取り損ねたものがあるとすれば,GEN CONのタイトルだろう.

と追悼みたいに語ってるが,ヴィンテージは禁止ではなく制限.ゴーレムとの永遠の別れを意味するものではない.MUDはさすがに力を落とすだろうが,環境のよいStablizerとして今後も頑張ってほしいものだ

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