https://www.youtube.com/watch?v=Jm8CdY75K-s&app=desktop

マジックの黄金率「テキストはルールに勝つ」にあるとおり,デザインは既存の枠組みとの調和を保ちながらも,それをいかに破るかというバランス感覚を要求する非常に高度な作業である.その点でイニストラード次元を代表するメカニズム,両面卡は成功の部類に入る.当初,僕を含めた多くのプレイヤーは,代用卡の滑稽さ,スリーブからいちいち出して裏返す手間などを挙げてこのメカニズムに異を唱えた.神河の反転という先例がある以上,この指摘も的外れとはいえなかったが,今や反対者の多くが両面卡の面白味を理解し,かつての誤りを認めている.なぜなら,両面卡によって実現できるデザインの広がりが,それに費やされる手間を考慮しても大変に価値のあることが,ウィザーズの手腕により示されたからだ.MaRo手ずからのコラム http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0015927/ によれば,デザイン的には魅力的であるものの導入に要するコストが高すぎて見送られた案が相当数あるとのことだが,両面卡はそれにあたらないということだ.

利点としては,礼儀正しい識者→人殺しの粗暴者の例が示すとおりストーリーを表現しやすい点が挙げられる.アヴァブルックの町長→吠え群れの頭目のように,変身の前後で全く役割の異なる卡もあり,この特長はより顕著となる.魂を捕えるもの→恐ろしい憑依といった,卡種までも変更する卡となると,まさに両面ならではのデザインだろう.変身条件も多彩であり,それをめぐるプレイヤー同士のせめぎ合いによりドラマが生まれる.さらに,秘密を掘り下げる者をはじめとした競技的に成功を収めた卡も少なくない.このように,両面卡はフレーバー上・ゲーム上双方の利点を併せ持つだけでなく,それらの融合にも成功しているといえる.

そして,オリジンで登場した両面PWは上の利点すべてを備えた秀逸なデザインを持ち,プレイヤー達の両面卡に向ける賞賛の声は一層高まることとなった.

さて,第二のイニストラード,アヴァシンの手で一度は平和を勝ち得たこの次元で,両面卡は再登場するのだろうか.ウィザーズがしばしば採用する,過去のメカニズムを直接は再登板させないものの,それを匂わせる新たなメカニズムを出す可能性もある.ストーリー・メカニズム共に楽しみなセットだ.

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