オースの軌跡

2014年5月6日 TCG全般
ヴィンテージ創始:
怒りの天使アクローマ - 3キル 彼女の戦闘力が極めて高いことはもとより論をまたない.とはいえ所詮はパワー6,3ターンクロックである.この時期のオースはノンクリーチャー相手に役に立たない上,出してからも相応のカウンターを求められるなど,デッキとしては未熟であった.

ミラディン:
エターナルオース=永遠の証人,サルベイジャーオース=オーリオックの廃品回収者 - 小型で戦闘力も低いが,強力な墓地利用能力を持つ2体のクリーチャーが登場した.数ある踏み倒し系デッキの中でも,オースに特有の墓地が大量に肥えるという「副作用」を最大限活用したタイプとして,その意義はきわめて大きい.

神河:
禁忌の果樹園 - 相性はもちろん手軽さ,単体での性能,対処の難しさなどあらゆる面でソツがない,オースの為に刷られたかのような卡である.これがため,オースは一時期の最強デッキに.

ラヴニカ:
タイラントオース=潮吹きの暴君 - コンボ型のオース.といってもオースを誘発させた上にストームまで揃えていなければいけないのは大変.むしろ,相手の土地を全部戻してロックに追い込む戦法のほうに意義がある.

アラーラ:
ヘルカイトオース=ヘルカイトの首領,厳然たるスフィンクス+大祖始 - うまくすれば2キルという速度が実現され,時代が1つ進んだ印象.

ゼンディカー:
エンジェルオース=エメリアの盾、イオナ - 一定条件下においては事実上の1キル天使.当時最強だったTezzeretの無限ターンに対してさえ,フィニッシャーが出ていなければ勝てる.破滅の刃のような単純除去にアッサリやられたり,MUD(特に映し身人形)には無力だったり,やっぱり粗も多いのだが,ともかくこのイオナによってオースは一応の完成形を提示したと言え,これ以降のオースは1キルを基準に,速度や相手の妨害への耐性といった要素を秤にかけて組まれるようになっていく.

エレファントオース=テラストドン - イオナの弱点であったMUDに強いテラストドン,さらにダメージレース天下一の鋼の風のスフィンクス(修繕経由のeasy winも担当)を加えたのがこれ.速度を犠牲に対応力を入手した形である.ただし役割の異なるクリーチャーを入れているということは当然事故の危険もあるわけで,ウィニーに押し寄せられ,スフィンクスが出れば!というところでイオナがめくれてしまってそのまま押し切られるというような悲劇もないではなかった.

引き裂かれし永劫、エムラクール - マジックの巨大クリーチャーもここまで来たかという感ある卡.オースから出す場合は追加ターンが獲得できないのが痛いが,その制圧力は他に類を見ない.イオナと比べても一長一短という感じであり,しばらくはエムラクールを使うための試行錯誤が続き,例えば先述のエレファントオースのイオナ枠にエムラクールを入れるデッキなどもあった.体感だが,この頃のオースとやるとエムラクールがめくれるのはそのターン中に死なないのでむしろ嬉しいと思っていた.

この段階では皆,エムラクールと最良の相性を持つ卡を忘れていたのである.

ミラディンの傷跡:
荒廃鋼の巨像 - これも1キル生物だが,こいつの場合修繕から出る.このままでは速度というオースの強みが損なわれる!という危機感で気づいたのか?ともあれプレイヤー達は,この辺りでドラゴンの息というエンチャントの存在に気づいた.以来,エムラクールとBSC1枚ずつにドラゴンの息を入れた構築が確立され,今日まで存続している.僕はこれをブレス・オースと呼びたい.

M12:
ルーン傷の悪魔 - まさかの基本セットからのエントリーである.1匹目でTime Walk,2匹目で墓地回収→Time Walk,合計18点殴って勝利という流れは美しく,エターナルオースの強化版という感じだが,やはりイオナやらエムラクールに比べると殺意が足らず,主流とまでは行かなかった.と思っていたら,今回のBOM9でサイドから出てきて優勝してしまった!

イニストラード:
グリセルオース=グリセルブランド - 現在の主流である.ここで大まかな流れをもう一度書くと,初期はLong Deckとオースのハイブリッドを用いる純コンボデッキだったが,コンボへの風当たりの強い現在のヴィンテージでこの構成はやや苦しく,次第にVault-Keyで勝利する通常のオースへと再編されていった(BOM9トライアルではそれさえ無く,グリセルのアタックとジェイスで勝つタイプも登場したが,きわめて示唆的 http://p.tl/JOo5).

ヴィンテージで14枚もドローすればまず何か来て,そのまま無限ターンないしは致死量ストームまで繋がる.加えてカウンターも大量に入荷するため,相手の抵抗も跳ね除けられるだろう.ここでいう相手の抵抗には,Force of Willのような汎用的な妨害手段と,墓掘りの檻や真髄の針といった,直接に狙い撃つ主にサイドからの対策卡の2種類があるが,グリセルオースは前者に対して強く,ブレス・オースは後者への耐性がある印象だ.

テーロス:
テゼオース=白鳥の歌 - 発表時からオースにとって非常に良いカウンターになるだろうと予想し,実際そのように運用されていたが,今回のようにAggressive Sideboarding補助として使うとは予想できなかった.BOMも影響力の強い大会なので,今後こういう構築およびその研究は増えるだろう.

特に僕が興味を持つのが,どこまでAS枠を圧縮できるか(メインボードと共有できるか)で,例えば白鳥の歌にしても非オースデッキでも積まれる程度には強い卡なので,メイン採用もあり得るだろう.ところでこれに関連して,前から思っていることがあるのだが,はたしてオースから瞬唱を出すのは全く論外な選択肢だろうか?それまでにヨーグモスの意志かTime Walk,またはそれらをサーチする呪文が1つでもめくれれば良いのだから,実績のある永遠の証人と比べてもさほど分が悪いとは思わない.瞬唱を抜かないことで,さらに枠を削ることができるのではないだろうか.

あと,すごく期待したのにサッパリ使われてない進歩の災いもこれで陽の目を見れるかもしれない.


ゼンディカー以降は実地に触れたものを書いているので詳しく書けたが,それ以前の内容が軽くなってしまった.抜けや誤解などがあれば是非ご教示いただきたい.

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